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もうひとつが、リアフェンダー。リアクオーターパネルが後方にいくにしたがってしぼられているせいもあって、後輪をおさめるパネルのふくらみが大きく強調されている。フェンダーの力強い印象は、シリーズ随一だ。

エッジを極力使わずリアフェンダーのボリューム感を強調する(筆者撮影)

エッジを極力使わずリアフェンダーのボリューム感を強調する(筆者撮影)


聞けば、ここがデザインを含めてトヨタの生産部の腕の見せどころだったようで、デザイナーの意図を生かした深い金型を作るのは至難のわざだったという。

「金型製作の担当者は“もう勘弁してください”と上司に泣きつく夢まで見たそうです。でも最終的に、ここまで立体感のあるフェンダーパネルを実現してくれました」

クラウンスポーツのエクステリア担当デザイナーは、試乗会会場でそう教えてくれた(お疲れさまでした)。

プラットフォームは共用でも特徴は異なる

クラウンスポーツが、基本プラットフォームをクロスオーバー/エステートと共用することは先述のとおり。クロスオーバーと比較すると、ホイールベースは80mm短縮。全長は210mm短く、全幅は40mm拡大し、全高は25~30mm上がっている。

まず登場したHEV(ハイブリッド)モデルのパワートレインは、クロスオーバー「G」「X」と同様、2487cc4気筒ガソリンエンジンを使ったシリーズパラレルハイブリッド。エンジンで前輪を、モーターで後輪を駆動するE-Fourシステムだ。

先述のとおり、SUV型のクラウン・シリーズは、基本的プラットフォームを共用しつつ、パワートレインの選びではモデルによって異なる特徴を出している。

2.4Lターボ デュアルブーストハイブリッドシステム(写真:トヨタ自動車)

2.4Lターボ デュアルブーストハイブリッドシステム(写真:トヨタ自動車)


たとえば、クロスオーバーには気持ちよく回る2.4リッターターボエンジンを使った「デュアルブーストハイブリッド」があるし、セダンには水素を燃料に電気モーターで走るFCEV(燃料電池車)があり、スポーツには外部充電式のPHEV、という具合だ。

このあと出てくるエステートについては、トヨタの誰も「お楽しみに(ニヤニヤ)」としか教えてくれないので、うっかりしたことは書けないが、少なくとも、クロスオーバーとセダンに対して、スポーツは乗ってみるとたしかにキャラクターが違う。

セダンは後輪駆動なので別格として、E-Fourのクロスオーバーとスポーツでも、ホイールベースが違っている。そして乗り味も、違う。車両の目的別に作りわけることの重要性を開発陣がよく理解し、それをはっきり結果に出している。


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