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自身のシグネチャーゲームウェアが導いた、世界最高峰の戦いで差をつけるパフォーマンスの向上

©Kosuke Shinozaki

©Kosuke Shinozaki


なお平野の「1ミリでも高く飛ぶためにもっとウェアを軽くしたい」という思いから生まれた新ゲームウェア着用して挑んだ今大会では、平野自身が持つ世界最高難度のトリック「フロントサイドトリプルコーク1440」を含む、北京オリンピック2022で金メダルを獲得したルーティンをブラッシュアップしてトライ。

しかし、今回のハーフハイプは他のコースに比べるとサイズが小さいことから、他のトリックよりも滞空時間が必要となる「フロントサイドトリプルコーク1440」はいつも以上に難易度が上がるものであった。2本目では見事同トリックをメイクするも、その後の「キャブダブルコーク1440」の着地時にミスがあり失速。惜しくもルーティンを決め切ることはできず8位で大会を終えた。

大会後、平野は新ゲームウェア着用により自身にどんな変化があったのかを含めて、今の思いを率直に話してくれた。

– X Games Aspen 2024の感想を聞かせてください。

「各大会ごとにハーフパイプの大きさや長さ、形状の全てが変わってくる中で、自分ができることの完成度を上げている最中なので、どんなサイズのハーフパイプでも自分ができるMAXのランを出すことが今シーズンの目標でした。

結果として、ラン3本の中で自分が今まで準備してきたことを決められなかったのは悔しいですが、この難しい条件下でのチャレンジという点では、相手というよりも自分自身に対してMAXで向き合えたと思っているので後悔はないです。結果を残せなかった悔しさと今回チャレンジして得た経験を次に繋げていきたいと思っています。」

– 新ゲームウェアの着心地はいかがでしょうか?

「以前のモデルよりもさらに軽いウェアを求めて、長い時間をかけて開発してきた一着を初めて着用するタイミングでした。ようやく今回このX Gamesという大会の特別な雰囲気の中、新ゲームウェアを着用できたことで自分のモチベーションがグッと上がりましたし、このウェアはまるで着ている感覚がないくらい軽いので、これ以上の動きやすさはないんじゃないかとライディング中に感じるほどでした。

また自分好みのサイズ感に合わせてもらったこともあり、もし肌寒いなと感じてもファーストレイヤーを重ね着した上から羽織れるような薄さと形状を兼ね備えたシェルジャケットになっています。そして2色のカラーで切り替えたデザインは自分がこだわった点で、1色だと他のライダーと被ってしまいがちなので、2色をチョイスした上でシンプルさを基調に色も派手ではなくクラシックにまとめています。

この新ゲームウェアは自分が本当に満足できるシルエットとデザインになっていて、今まで着てきたゲームウェアの中で一番ですね。」

– 今大会を経て今後の目標を聞かせてください。

「目標はオリンピックでの2連覇なので、2年後のオリンピックへピークを持っていけるように日々を過ごしていて、そのために時間をかけて取り組んでいることも多いです。またその過程の中では特にチャレンジ精神を大事にしています。普段から挑戦しては失敗の繰り返しですが、このチャレンジ精神があるからこそ、その経験が自分にとってプラスになっています。こういう風に前回のオリンピックを終えてから、常に先のことを頭の片隅に置きながら生活や練習を重ねて来れているので今の自分がいるんだと感じています。

また、最近スノーボード界ではライダーの技術レベルの向上やトリックの進化のスピードが早くなっていることから、その分リスクも今までとは違う次元になってくる中で迎えるのが次のオリンピックなのかなと予測しています。

だからすごく身体を大事にしていく必要がある一方で、そのギリギリの戦いがさらに進行している状態なので、スノーボードだけじゃなくて生活スタイルだったり、その時自分に足りないものを補い続けることの重要性も強く感じています。もちろん練習が一番大切ですが、他の足りないものを補うことにも集中しながら自分を強くしていきたいと思っています。」

これらの言葉から平野が見据えている頂点がいかに高いところにあるのかが垣間見られた。今後この新ゲームウェアと共に数々の大会で世界一になることはもちろんのこと、まだ他のスノーボーダーたちが踏み入れていない新たな領域へ達するために、これからも自分自身との戦いを重ねながら進化し続け、自身の掲げた目標を一つ一つ達成していくことだろう。


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