漫画で「おひとりさまホテル」を社会現象にしたい
星野 「おひとりさまホテル」はどれくらい行かれているんですか?
マキヒロチ 漫画の取材で月に1回は必ず泊まっているので、年間12回は行っていますね。漫画の準備期間が2年ほどあって、その間、50を超えるホテルに泊まりました。
星野 そんなに取材に行かれているんですね! 漫画家のキャリアはどう歩んでこられたんですか?
マキヒロチ もともと少女漫画志望で、小学校6年生の頃に『りぼん』に応募して、中学生で5万円とか10万円の賞を取れるようになりました。少女漫画ってデビューが早いんです。そこから編集者に少女漫画は向いてないんじゃないかと言われて、青年誌に切り替えて、19歳でデビューしました。
デビュー以来、マキヒロチさんは幅広いジャンルの漫画を描き続けている
星野 中学生で賞を取ったのがすごい。何歳から漫画を描き始めたのですか?
マキヒロチ もともと絵を描くのは好きだったんですが、専門のペンで初めて漫画を描いたのは小学校4年生です。
星野 漫画は、絵が上手いだけでなく、ストーリーの発想も求められますよね。
マキヒロチ 母曰く、私は泣いている女ばかりを描いていた。泣いている顔を描きたいから、この女がどうしたら泣くか、ストーリーを逆算して考えていました。母と祖母と雑誌をつくろう!と、ノートに祖母が「節分物語」という農民とゴミの話を、母が双子のはちゃめちゃコメディを、私が泣く女の漫画を描いて、連載していました(笑)。
星野 親子三世代で連載雑誌をつくっていた! そこから19歳で本当にデビューされたんですね。
「好きなことがあるっていいですね」と感心する星野に対して「代表のスキーほどではないです」と返すマキヒロチさん
マキヒロチ デビューしてすぐに連載はできなかったので、他の漫画家先生のところでアシスタントをして、読み切りを描いていました。30歳でヒット作『いつかティファニーで朝食を』が生まれました。
星野 大事な作品ですね。
マキヒロチ はい。『いつかティファニーで朝食を』は聖地巡礼をする人が増えて「朝食女子」と呼ばれるようになりました。今度は漫画『おひとりさまホテル』で社会現象を起こしたいんですよね。
星野 いいですね!ぜひ一緒に『おひとりさまホテル』を盛り上げていきましょう!
「星のや東京」の客室にて
マキヒロチ
第46回小学館新人コミック大賞入選。ビッグコミックスピリッツにてデビュー。『いつかティファニーで朝食を』では「朝食女子」というワードもブームに。代表作は他に、人生の岐路に立つ女性たちが新しい街で一歩を踏み出す姿を描く『それでも吉祥寺だけが住みたい街ですか?』、スケートボードに魅せられた女子の挫折と再生の日々を描いた『SKETCHY』(ともにヤンマガサード)、ホテルに魅せられ新しいライフスタイルを模索する人々を描く『おひとりさまホテル』(月刊コミックバンチ)。