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2024.02.16

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究極の気を遣わない旅。星野リゾート代表が『おひとりさまホテル』漫画家に訊くその醍醐味



当記事は「星野リゾート」の提供記事です。元記事はこちら。

星野リゾート代表の星野佳路氏と漫画家マキヒロチ氏による対談。“いつもの日常が特別な時間”になる漫画『おひとりさまホテル』を描くマキ氏が語る、おひとりさまホテルの醍醐味とは? 全3回の1回目。
マキヒロチ
第46回小学館新人コミック大賞入選。ビッグコミックスピリッツにてデビュー。『いつかティファニーで朝食を』では「朝食女子」というワードもブームに。代表作は他に、人生の岐路に立つ女性たちが新しい街で一歩を踏み出す姿を描く『それでも吉祥寺だけが住みたい街ですか?』、スケートボードに魅せられた女子の挫折と再生の日々を描いた『SKETCHY』(ともにヤンマガサード)、ホテルに魅せられ新しいライフスタイルを模索する人々を描く『おひとりさまホテル』(月刊コミックバンチ)。

「誰と行くか」ではなく「どのホテルに泊まるか」が大事


星野 漫画『おひとりさまホテル』で「星のや富士」を取り上げてくださってありがとうございます。

マキヒロチさんの漫画『おひとりさまホテル』2巻に「星のや富士」が登場!

マキヒロチさんの漫画『おひとりさまホテル』2巻に「星のや富士」が登場!


マキヒロチ こちらこそ、創作のための取材としてインタビューをさせてもらったり、泊まらせてもらったり、星野リゾートさんにはお世話になっています。
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星野 私自身が「おひとりさまホテル」をやったことがなくて、今日はひとり旅をする方の深層心理が知りたいんです。

マキヒロチ そうなんですか!? 逆に代表が「おひとりさまホテル」をしないのはどうしてですか?

星野 私はプライベートな旅は全部スキーに当てちゃっているので。冬場は常に、年間70日はスキーをしています。スキーはおひとりさまだと雪崩にあったら危険なので、必ず仲間と行きます。

マキヒロチ なるほど(笑)。年間70日間もスキーに行かれるんですね!

対談は「星のや東京」の各フロアに設置された「お茶の間ラウンジ」にて行われた

対談は「星のや東京」の各フロアに設置された「お茶の間ラウンジ」にて行われた


星野 私たちはホテルをつくって運営していく上で、旅をする人たちのニーズを調査します。たとえば50代60代のご夫婦は、元気なうちにまだ行ったことない場所へ旅に行きたい。20代の若者たちは、友だちと気楽に過ごせる「居酒屋以上旅未満」の体験を求めている。極端なことを言えば、自分が住んでいるところから一駅二駅の距離でもちょっとした非日常な体験ができればいい。

つまり、「どこに行くか」よりも「誰と行くか」を重視しているんです。家族旅行も一緒に過ごすことが大事ですよね。ところが、おひとりさまは誰と行くかは重要ではない。何がニーズの中心なのか、いまだにわかっていないんです。

マキヒロチ 私が「おひとりさまホテル」をするようになったのは、コロナ禍がきっかけです。それまでひとりでホテルに泊まるのは、出張先だったり、青春18きっぷで目的地に行った先だったり、ホテルを目的にすることはなかった。でも、コロナ禍で旅行ができなくなって、気分転換に仕事をしながら都内のホテルに泊まってみたら、すぐにハマりました。

星野 ハマったのはどの部分ですか?

マキヒロチ やっぱり都内のホテルに泊まるのは贅沢中の贅沢じゃないですか。自宅ではない部屋で散らかしても掃除をしてくれて、ルームサービスを使えば料理も出てくる。その体験が気持ち良くて調べたら、こんなホテルもあるんだ!ここにもあそこにも泊まりたい!この会社のホテルをコンプリートしたい!と広がっていきました。

星野 おひとりさまの旅は、誰とどこに行くかよりも「どのホテルに泊まるか」が大事なんですね。

漫画の主人公たちと同じように「おひとりさまホテル」にハマっているマキヒロチさん

漫画の主人公たちと同じように「おひとりさまホテル」にハマっているマキヒロチさん

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「おひとりさまホテル」は究極の気を遣わない旅

星野 でも、ルームサービスで料理が出てくるという点では、Uber Eatsという選択肢もありますよね。その違いは何なのでしょう?

マキヒロチ やっぱり圧倒的な非日常感ですね。自宅でキッチンがあるのに料理をせずにUber Eatsを頼むのはなんだかうしろめたさがある。でもホテルに泊まると、旅行というものに料理を食べる行為がパッケージングされているから、うしろめたさを感じないんです。

「おひとりさま」の深層心理を解き明かそうとしている星野

「おひとりさま」の深層心理を解き明かそうとしている星野


星野 おもしろいですね。キッチンがある自宅の日常の延長線上にあるAirbnb(エアビー)ではなく、ホテルという非日常の空間に身を置くことに意味があると。でも、ひとりで行く必要性はどこにあるのでしょう?

マキヒロチ 漫画『おひとりさまホテル』は、ひとり時間の過ごし方を提案するメディア『おひとりさま。』を運営するマロちゃんと一緒につくっているんです。ふたりで共感するのが、おひとりさまの魅力は誰の目も気にしなくていいこと。思い立ったときにふらっと行きたいホテルの予約ができるし、部屋で脱ぎ散らかしても、ルームサービスで贅沢しても誰にも怒られない。
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星野 一緒に行く人に気を遣わなくていいってことですね。私はこの歳になって、スキー仲間と一緒に行っても、ひとり部屋で脱ぎ散らかすし、相手のお財布事情も気にしなくなりました。ひとりだと思い立ったときに行けるのはいいですね。

マキヒロチ 日にちを事前に決めなきゃいけないのもそうなんですが、旅好きの友人を「このホテルに行こう!」と誘ったときに、「行ったことある!」と返されると気持ちが沈んじゃうんですよね。

星野 マキヒロチさん自身はホテルのリピートはされないんですか?

マキヒロチ 星のやでリピートしたのは「星のや富士」だけなんですけど、もっと手軽な価格帯のホテルであればリピートすることはあります。私が好きなホテルをリピートするのはいいんですが、一緒に行く相手とは初めてを共有して味わいたいと思っちゃうんですよね。

星野 なるほど(笑)。ひとりだったらそういう矛盾やわがままを誰にもとがめられない。おひとりさまは「究極の気を遣わない旅」なのかもしれないですね。
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