オアシスのギャラガー兄弟は、地元マンチェスター・シティを熱狂的にサポートするサッカー好き。90年代当時は、ステージやプライベートで頻繁にユニフォームを着ていた。photo:Kevin Cummins/Getty Images
▶︎すべての写真を見る スポーティなアイテムを日常のコーディネイトに取り入れる。街でしばしば目にするその姿は、オーシャンズ世代にとってどこか懐かしく、共感できるエッセンスが多い。
そのルーツはどこにあるのか? 1980年代以前の黎明期から90年代以降、“スポーツとファッション”はどう交わり、世のトレンドとなったのか。 それを紐解く重要キーワードを小木“Poggy”基史さんに伺った。
| 小木“Poggy”基史さん 世界が注目するファッショニスタにして、“スポーツ×ファッション”の伝道師。ユナイテッドアローズの販売・PRスタッフを経て、コンセプトストア「ユナイテッドアローズ&サンズ」 などを立ち上げる。2018年に独立後は、ワイルド サイド ヨウジヤマモトのコラボレーションキュレーターなどを務める傍ら、複数のブランドで“POGGY”コレクションを展開。イギリスのファッションビジネス専門メディア 「ザ ビジネス オブ ファッション」 では、最も影響力のあるファッション業界人として、2023年度の 「BoF500」 に選出されている。 |
「スポーツとファッションは、90年代にグッと密接になりました」
スタイリスト、レイ・ペトリが牽引したロンドンのクリエイティブ集団「BUFFALO」。この写真集で提案されたハイブランドとスポーツアイテムを合わせたスタイルはもはや伝説。
「スポーツとファッションが明確に結び付いたのは、90年代という実感があります。ただ、それ以前にもテニスやスキー、クリケットといった上流階級が好んだスポーツとそのスタイルをイメージソースに、スポーツウェアを取り入れる傾向はありました。
例えば、ブリティッシュトラッドのお手本といわれる80年代初頭の映画『炎のランナー』に登場するスポーツミックスの装いは、その原型です。90年代に入ると、よりストリート色が強いカジュアルスタイルが全盛を迎えます」。
1981年公開のイギリス映画で、青春群像劇の傑作としても名高い『炎のランナー』。古き佳きブリティッシュトラッドと、当時誰もが憧れたスポーツファッションを学ぶならコレ、といわれるバイブル。photo:Neil Leifer/Getty Images
NBAを筆頭にアメリカのスポーツが身近になり、スニーカーブームが巻き起こる。音楽シーンではスポーティな格好をしたアーティストたちがチャートを席巻した。
クラブシーンでは、アシッドジャズが世界的に市民権を獲得。ジャミロクワイを率いたジェイ・ケイの大きなハットとスポーティないでたちはその象徴でもある。photo:Gie Knaeps/Getty Images
「セールス的にも大成功を収めた“ブリットポップ”と呼ばれた90年代のイギリス産ロック。メジャーなバンドもステージ上でサッカージャージーを着ていたのが時代を象徴しています。
当初はハードコアパンク色が強かったが、80年代にはヒップホップに開眼したビースティ・ボーイズ。90年代にオルタナティブロックの騎手としても注目され、ファッションアイコンとなった。photo:Al Pereira/Getty Images
クラブシーンでもそのスタイルは当たり前に受け入れられ、ヒップホップでは、ビースティ・ボーイズなどの新しい勢力がファッションを牽引し、彼らが履いていたローテクスニーカーは、飛ぶように売れました」。
ビースティ・ボーイズを筆頭に、愛用したアーティストは数知れず。フランス製ヴィンテージは、今も価値が上昇中。[左]8万7780円/ソーマ 下北沢 soma.shimokitazawa、その他私物
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