世界に追いつけ、日本の管理漁業は始まったばかり
日本の管理漁業は、改正漁業法が2018年に成立、2020年施行したことでスタートした。それに続いて2020年に成立、2022年に施行された水産流通適正化法では、漁獲証明書の添付を義務付ける制度が開始された。
水産流通適正化制度について水産庁が提示している資料。
ただし、漁獲証明対象魚種は国内産3種(アワビ、ナマコ、シラスウナギ)と、輸入魚4種(イカ、イワシ、サバ、サンマ)のみ。
今後、この対象魚種を欧米並みに増やしていかなければならない。さもなくば、違法性の高い水産物が、漁獲証明書がいらないことを良いことに、管理の甘い日本へ次々に流入してしまう。
「ヨーロッパでは、全魚種が漁獲証明制度の対象です。アメリカでは主要13種が義務化されていて、現在は、全魚種の義務化が下院を通過しました。それに比べると日本の現在の対象魚種が7種は少なすぎます」。
諸外国における資源管理施策について水産庁が提示している資料。
しかも日本人が好むサーモンやマグロ、カツオ、ハマチといったツナ類がごっそりと抜け落ちている。
「アワビやシラスウナギなどの高級魚種は密輸・密売を防ぐ意味はあるものの、日常的に食べるものではありませんよね。なので管理漁業のインパクトとしては小さい。そこが今後の課題です。
また、今は対象外のサーモンやエビなどは主に輸入に頼っていますから、それらの漁獲証明書の添付が義務付けられれば、漁業の透明性と製品の安心が得られます」。
ここには、現代の大きな避けて通れない問題も潜んでいる。モダン・スレイブリー(現代的奴隷制)と言われる非人道的な漁の実態だ。
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