体を温めることは良いことーー。
よく耳にする言葉だが、これがなぜ体に良いのかを説明できる人は少ない。実はコレ、「ヒートショックプロテイン(以下:HSP)」と呼ばれるタンパク質の一種が免疫を高めてくれているというのだ。
今回は、医療法人社団森愛会鶴見クリニックの鶴見隆史院長にHSPのメカニズムや体に起こるさまざまなメリット、そして効率的にHSPを増やす方法などについて教えてもらった。
話を聞いたのはこの人! 鶴見隆史●医療法人社団森愛会鶴見クリニック院長。東洋医学と西洋医学を融合させた医療を実践。鶴見式免疫治療法を確立、難治性の疾患の治療に取り組み、多くの患者を再生している。著書に『酵素がつくる腸免疫力』(大和書房)、『食物養生大全』(評言社)など多数。
そもそもHSPって何なの?
――まずHSPとはどういうものか、教えてください。 HSPは全身にある約60兆個もの細胞を修復・強化してくれる優れたタンパク質です。
もともと私たちの体の主成分はタンパク質ですが、糖や加工肉などの過剰摂取、精神的なストレスが原因で、体に害をもたらす「変性タンパク質」へと変わります。
そうなると、体が酸化・糖化状態となり、次第にさまざまな病気を引き起こしてしまいます。そんな変性タンパク質を正常なタンパク質に戻してくれるのがHSPです。
――HSPはどうすれば増やすことができるのでしょう。 HSPはさまざまなストレスによって発生するため、ストレスタンパクともいわれています。
たとえば、断食。脳に必要な糖の供給が絶たれることで、脳が飢餓状態であると判断し、HSPが出現します。体の修復機能として話題になったオートファジーも、断食することで発生するといわれていますが、HSPと働きがよく似ているんです。
あとは感染症にかかったり、高所で過ごしたり、身体が酸化状態になったりするときにもHSPは出てきます。「何とかしなければ!」という体の防衛機能ですね。
そして、もっとも強くHSPを出すのがマイルド感温。つまり、入浴やサウナで体を温めるということです。
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