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東京ビッグサイトのイベントで販売されたマフィンの購入者らが体調不良を訴えた問題で、「食中毒」に関心が集まっている。
日常生活のなかで「ちょっとくらい賞味期限が切れていても大丈夫でしょ!」と考える場面も少なくないが、実際、食中毒はどれほど身近な危険なのだろうか。
今回は、東京農業大学の教授で細菌学・食品微生物学を専門としている五十君靜信さんに、家庭内で起きる食中毒の危険性について伺った。
話を聞いたのはこの人! 五十君靜信⚫︎東京大学大学院農学研究科獣医学専攻博士課程修了(農学博士)獣医師。メリーランド大学医学部(アメリカ)客員研究員、国立感染症研究所食品衛生微生物部食品微生物室長、国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部第一室長、部長を経て、現職にいたる。おもな研究テーマは、食中毒の制御と遺伝子組換え微生物の安全性に関する研究
食中毒ニュースを専門家はどう感じたのか
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ーー例の「マフィン事件」について、五十君先生はどのようにお考えでしょうか。 マフィンの食中毒事件に関しては、年間で1000件以上ある食中毒被害の一つとして捉えています。
日本はもともと生食の文化があるため、食品の微生物汚染に慎重で、消費までの期間が短いことで細菌性食中毒が少ない国として知られています。しかし、一部の業者の管理不足による食中毒の発生は、特に珍しいものではない状況です。
また、今回の東京ビッグサイトで起きた事件では、異臭などの腐敗・変敗が見られたようです。今回の教訓として、少しでも腐敗・変敗が起きていると感じた場合、その食品を口にしないように再度徹底しましょう。
消費者の中には、「流通している食品=安全」と誤認している方もいるかと思います。見た目や匂いなどの五感で状態が良くないと感じた食品に関しては、安心という思い込みを捨てて食べないことが重要です。
※目黒区保健所はその後、マフィンから食中毒の原因となる細菌が検出されず、体調不良がマフィンによるものと断定できなかったとして店に対する行政処分を見送った。 2/4