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【Answer】

良いカシミヤの判断方法と自宅でのメンテナンス

①ニットを触って、指先に滑りがないかをチェック!

オーシャンズ 2023年12月号

オーシャンズ 12月号の「ニット」特集でも、尾崎さんにさまざまなブランドのカシミヤを分析してもらった。


ハラ
 まずは、カシミヤの良し悪しをどう判断するべきなのかを教えてもらいたいなと。

オザキ オーシャンズ12月号の誌面でもお話したのですが、結局高いものはだいたい良い。まずそれが、ひとつの判断基準にはなると思います。

キクチ それは間違いないよね。

オザキ ただ、ミドルクラスの価格帯(5〜8万円)のものでも、良い毛を使ってるブランドはあるんですよね。そういった製品は、利益を削り、企業努力によって実現されている。

ハラ 値段では測れないってことだね。

オザキ 好きずきと言ってしまえば、それで終わりなんですけど……(笑)。

キクチ もうちょい教えて(笑)。



オザキ 例えば、仕上げのときに洗いをかけるんですが、そこにいわゆる柔軟剤を入れているかどうかも判断基準ですね。難しい判断にはなりますが、柔軟剤を入れてより柔らかさを出しているところもあります。

キクチ いわゆる、人工的に柔らかさを出してるってこと?

オザキ そうですね。原毛自体が上質で柔らかいのか、柔軟剤で柔らかくしているか。相対的な損をしないためには、そこに気づけるほうが良いですね。

ハラキクチ なるほど!

オザキ 柔軟剤を使うことが100%悪いわけではないんですけど、使うってことは……ってなりますよね。つまり、全メーカーが使っていたとしても、少量で大丈夫な毛もあれば、たくさん使う必要がある毛もあるわけです。



オザキ カシミヤの毛は、全身どこを取っても“カシミヤ”です。でも、肌に近い内側の毛ほど、空気をためるために柔らかくなっているんです。そこを厳選して使っているのが、高いブランドの特徴というか特権ですね。

ハラ 外側に行くほど、硬い毛になるってことか。

オザキ 内側の毛は、限られたところでしか手に入れられないんですよね。

キクチ カシミヤの中でもランクがあるんだね。

オザキ 価格帯がミドルクラスだと、わりと外側に近い毛を使ってるところが多い。でも、企業努力で、内側の毛を贅沢に使ってるところもあります。

ハラ そこを見分けるためには、どうしたらいいんだろう?



オザキ まずは「たくさん見る」ことですね。あとは、ニットを触ったあとに指をこする。そうすると、滑りが残るものがあるんですよ。

ハラ 洗剤ってこと?

オザキ 先ほど話していた柔軟剤に、シリコンを液化したものを使っている可能性があるんです。だからこすっても、指先になんの感触も残らないものが良いニットという判断もできます。

キクチ お〜、すごい方法を教えてもらった!

オザキ これはTシャツとか、タオルでも使える方法です。

ハラ ふわっと見せたいもの、そう感じさせたいものは、そういう判断方法もあるってことか。

オザキ もちろん、それが“悪”ではないんですよ。柔軟剤は、ほとんどのものに多少なりとも使われているので。

ハラ 量の問題ってことだね。



オザキ 僕が前にやっていた「フィルメランジェ」というブランドは、原綿の良さにこだわっていたので、仕上げ屋さんにはあえて「柔軟洗いしないでください」という注文を入れてましたね。

キクチ すごいこだわり!

オザキ 逆にいうと、注文しなければ、仕上げ屋さんは洗いの段階で、軽く柔軟剤を入れるんですよ。

ハラ なるほどね。

オザキ なので、悪いことではないんです。ただ、あまりにも柔軟剤に頼ってるメーカーだと、洗濯していくうちにカチカチになります。

キクチ タオルだとわかりやすいかもね。面白い!


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