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「ル・クルーゼ×時間=おいしさ」の方程式



さて、そもそもなぜ弱火でじっくり煮込むだけでおいしくなるのか。それは、100年近くにわたって愛されてきたル・クルーゼならではの技と工夫あればこそ。



ル・クルーゼの鋳物ホーロー鍋は、1925年に北フランスの小さな村で誕生した。以来、フランスの食文化を支えてきた調理器具のひとつといっても過言ではないだろう。

フランス家庭料理といえば、肉と野菜を煮込んだ「ポトフ」や豆と肉の煮込み「カスレ」、野菜を煮込んだ「ラタトゥイユ」などなどがあり、彼の地で生まれたル・クルーゼが“じっくり料理”を得意とするのも頷ける。



よく見ると、鍋の表情がひとつひとつ異なるのは、今も職人たちが手作業で工程に関わっているから。村には三世代でル・クルーゼの鍋づくりに関わっている職人一族もいるのだそうだ。

SS シリコーンヘッド・トング ブラック2750円/ル・クルーゼ www.lecreuset.co.jp

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「さっき、いい道具を手にすると料理したくなるって言ったけど、そういう歴史やストーリーを知ると、ますますそれを使ってみたいっていう気分になるよね。道具って、料理の仕上がりを左右するし、道具から料理に入るのはあながち間違ってないと思うんだよね」。

ル・クルーゼの鍋の内側のコーティングには、つるりとして汚れや匂い移りしにくい「サンドホーロー」(右)と、先述のとおり焼き付けに適しており汚れが目立ちにくい「ブラックマットホーロー」(左)の2種類がある。

ル・クルーゼの鍋の内側のコーティングには、つるりとして汚れが落としやすく匂い移りしにくい「サンドホーロー」(右)と、先述のとおり焼き付けに適しており汚れが目立ちにくい「ブラックマットホーロー」(左)の2種類がある。


職人の熟練の技で仕上げられるル・クルーゼの特徴はドーム型の蓋。鍋の中に熱と蒸気の対流を生み、食材を内側からじっくりと加熱するので、煮崩れしにくくじっくり食材の旨味を引き出してくれる。



また、蓋をしたときに鍋との間にわざと隙間ができるように設計されていることも特徴。煮込んでいるとこの隙間から湯気が立ち上る様子が実においしそう……ではなく、余分な蒸気を逃がすことで旨みを凝縮してくれるのだ。

オーブンの中でパンもいい感じに膨らんできた。こちらもル・クルーゼの鍋に入れて焼くことでじっくり火が入り、ふっくらもっちりと焼きあがるというわけ。



キッチン全体に満ちてきたのはビーフシチューのいい香り。ルーもデミグラスソースも使っていないこの香りは、肉と野菜とワインが時間を経て溶け合ったもの。ル・クルーゼの鍋の実力が存分に発揮され、時間をかければかけるほどそのおいしさは増していく。「ル・クルーゼ×時間=おいしさ」も、じっくり料理の“いいこと”なのだ。
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