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2024.01.01

たべる

【初詣ついでに】幻のC級グルメ「鎌倉丼」が絶品だった!西日本では「天とじ丼」って……マジ!?


オーシャンズ推薦「みんなの“C級グルメ”」●「C級グルメ=Community-グルメ」とここでは定義。その土地に愛される、B級グルメと呼ぶほどメジャーでもない絶品グルメをOC編集部員が発掘&推薦!
鎌倉といえばシラスが有名だが、かつては海老の名産地として知られていた。なんとあの伊勢海老も江戸時代は“鎌倉海老”という名称で浸透していたらしい。……それ、相当スゴいぞ?

この名産品を使ったC級グルメとして誕生したのが「鎌倉丼」。簡単にいうと、「海老の卵とじ丼」である。

ここでいう“海老”の定義はユルく、天ぷらでもカツでもいいし、なんなら揚げる必要すらないという。



「鎌倉丼」は知る人ぞ知るC級グルメ。

「鎌倉丼」は知る人ぞ知る、幻のC級グルメ。


今回、訪ねたのは大正13年創業の蕎麦の名店「鎌倉 峰本」。鎌倉有数の初詣スポット、鶴岡八幡宮のほど近くに本店を構える老舗だ。

「鎌倉丼」(1950円)。小さな蕎麦とセットの「鎌倉丼とひとくちそば(2200円)もおすすめ。」

「鎌倉丼」(1950円)。小さな蕎麦とセットの「鎌倉丼とひとくちそば」(2200円)もおすすめ。


峰本の鎌倉丼は贅沢にも3本の海老を使用。海老天はいずれも大ぶりで、かなりしっかりした弾力と濃厚な魚介の旨味が楽しめる。



厚めの衣には風味豊かな甘辛出汁がよく染み渡っており、ふわふわ卵との相性も良し。ほんのりと効いた山椒もいいアクセントとなっていて、箸を動かす手が止まらない。う〜ん、絶品……!

海老天は半分に切られていてとても食べやすい。

海老天は半分に切られていてとても食べやすい。


……さて、ここまで読んで「鎌倉丼? 違くない?」とツッコんだ読者もいるだろう。そんな皆さんは、西日本に縁がある人ではないだろうか?

確かにこの鎌倉丼、関東ではほぼ見かけないが、西日本の一部地域では「天とじ丼」や「天玉丼」といった名前で知られており、蕎麦店やうどん店では割とよく扱われているらしい。

試しに関西出身の編集部員に聞いてみると……

「天とじ丼なんてどこにでもあるんじゃないの?」(兵庫出身・蒲池)

「関西の名物ってわけでもないけど、普通にどこでも見かけますね。まさか、関東にはない……?」(大阪出身・吉川)

……ないわ。ふたりとも上京して長いだけに、「今さら気付いたの?」とビックリ。

調べてみると、羨ましいことに福岡には「飛うめ」、大阪には「更科」、京都には「岡北」など、天とじ丼の名店がいくつも存在するようだ。

ちなみに、福岡の親友は「天とじ丼はよく見かけるけど、衣がフニャフニャになるのがちょっと……」と敬遠していたが、その理屈だと天ぷら蕎麦(温)もアウトになる。中身までツユに溶けてしまうコロッケ蕎麦など立つ瀬もないではないか。

峰本に近接する「天金」(明治38年創業)は鎌倉丼の元祖説もある老舗だが、数年前に惜しまれつつ閉店した。

峰本に近接する「天金」(明治38年創業)は鎌倉丼の元祖説もある老舗だが、数年前に惜しまれつつ閉店した。


もちろん、関東にも天とじ丼を出す店があるにはある。しかし、上野の老舗天ぷら店で働いていた料理人に確認したところ、やはり「少なくとも関東の文化ではないと思う」と証言。“あればラッキー”といったところなのだろう。

鎌倉丼のウマさを知る関東人としては、もっと身近な食べ物になってほしいと思う。一方で、鎌倉に出掛けたときの楽しみにとっておきたい気持ちもある。

いずれにしても東京近郊ではあまりお目にかかれないメニューだ。初詣がてら、ぜひご賞味あれ……と言いたいけど、さすがに混むだろうなぁ。

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