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パニック障害の簡易チェック!



――診断基準のようなものはあるのでしょうか?


DSM-5という米国精神医学会による診断基準があります。簡単にしたものを用意したので、もしかして……と心配な方はチェックしてみてください。
「DSM-5 簡略版」
発作中に以下の症状のうち4つ以上が起こるとパニック障害の疑いが強い。

1 動悸がある、脈が速くなったり、脈を強く打つ
2 手のひらなどの汗や冷や汗をかく
3 身震いまたは手足の震えがある
4 息切れや息苦しさを感じる
5 窒息する感じやノドがつまる感じがある
6 胸の痛み、圧迫感または不快感がある
7 吐き気がある
8 下痢、腹部の不快感がある
9 めまいやふらつきがある。
10 頭が軽くなる、または気が遠くなる感じがある
11 寒気または熱感がある
12 感覚が麻痺する、またはうずく感じがある
13 現実感がない、ピンとこない感じ、自分から離れた感じがある
14 自己制御が利かなくなる、またはどうかなってしまう感じがある
15 死んでしまうという恐怖がある
――これらの症状が出てしまう原因は何なのでしょうか?

正確には分かっていないのですが、ストレスが強く関係するとも考えられています。また、カフェインは交感神経を高ぶらせるので、パニック障害が疑わしい人は摂取量を減らした方がいいでしょう。

アルコールも飲んでいる最中は不安や恐怖が和らぐのですが、アルコールが切れたときに不安や恐怖がリバウンドのように襲ってくることがあるので、過度な飲酒は控えましょう。睡眠が足りていないときも発作が出やすいといわれています。

完璧主義だったり、神経質な方はストレスを溜めやすい傾向にあるので、パニック障害になりやすいとされています。

――パニック障害になりやすい年代はありますか?

一般的には20代に発症しやすいとされています。しかし、初めて発作が出るのが20代でも、その後の発症頻度でいえば、男性は35歳から49歳が最も多いとする論文もあります。

30代、40代になって任される仕事の量も増えてストレスがかかる、それが負荷となり寝付けずお酒を飲んでしまう、すると眠りが浅くなって睡眠不足になり、カフェインを摂るようになる。こうした一種の悪循環も関係しているのかもしれません。

いずれにせよ、20代で発症したのにきちんと治療せず、30代、40代で再発してしまうケースが多いと思いますので、早期治療がカギになります。



――パニック障害の治療方法を教えてください。

薬物療法と認知行動療法がメインとなります。発作は交感神経の異常な高まりによって起こると前段で説明しましたが、薬物療法はこれを抑制するためのものです。主にSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)という薬を用いて、気持ちを落ち着かせるセロトニン神経の働きを整え、発作が出ないようにします。

しかし、これだけでは満員電車が怖い、会議室に入りたくないといったメンタル面は支えられません。そこで必要なのが認知行動療法です。

例えば電車が怖い、乗るのが不安だと思っている人に、そんなことないよと説いても、恐怖や不安といった感情はコントロールするのが難しく、あまり効果はありません。

そこでコントロール可能な部分、つまり捉え方(認知)を変えます。電車が怖いと感じる人には、「発作が出るんじゃないかと怖がるのではなく、動悸がしても発作が起きるとは限らない。たとえ発作が起きても死ぬことは絶対にないのだから」というように説いていきます。

そのうえで、まずは一駅乗ってもらい、そこで成功体験を掴み、「意外と大丈夫じゃないか」と自信を得てから徐々に駅数を増やしていきます。これを段階的曝露療法といいます。

――自宅でできる改善方法はありますか?

腹式呼吸は副交感神経を刺激するので、リラックス効果があるとされています。やり方はお腹に力を入れて、息を吐き切るだけ。吐き切れば自ずと息を吸うので、吸う方は意識する必要はありません。

また、心を「今、ここ」へ向けるマインドフルネスによる瞑想を行うことも効果的です。もし自分がパニック障害かもしれないと思ったら、早ければ早いほど治療の効果が得られるので、心療内科やメンタルクリニックに行くことをおすすめします。


ストレス社会と言われ久しいが、解決の決定打は見つかっていない。とりわけ、完璧主義者はストレスを抱えやすいというから、仕事も人間関係も、7、8割ぐらいが丁度いいと割り切って事に当たるといいだろう。

アントレース、森祐一=取材・文

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