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「疲れ=ストレスではない」



ビジネスパーソンとして、これほど多大な功績を残すことができた裏には、それまでの道のりで多くの苦難が振りかかったことは想像に難くない。

仕事とプライベートを切り離して考える人が多いなか、エガーディンの場合は「切り替えることはない」ときっぱり。

「特にウィークデーはオンとオフを切り離すことは難しく、家に戻っても仕事のことを考えています。トラブルは何年も働いていれば常に一緒にあるものだと思っていて、自分にとってはもはや子供のようなもの。

どんなに大変なことでも逃げ出したいとは思いません。トラブルは疲れるけどストレスにはなりませんから」。

これを聞き驚いていると、さらに「もともとストレスを感じにくい人間なのかもしれませんが」と前置きをしつつ。

「ストレスってエネルギーを消費しますけど、FUN-TIMEの時間もそうですが、会社の人や仕事仲間からエネルギーをもらうので、そのバランスだと思うんです。失ったぶん、家族や仲間からもらうからストレスを感じないのだと思います」。

その後、自らの腕時計を見せながら、その魅力を熱弁するエガーディンに「時計が大好きなことが伝わります」と言うと、思い出したように言葉を紡ぐ。

「先ほどのストレスの話の続きですが、やはり最後は情熱だと思うんです。

自分は人と一緒に働くことが好きで、時計のこともブランドのことも好き、もちろんこのブランドで働いている人のことも好き。どんなシーンであれ、自分が好きなものに費やしていることこそ長く続くのだと思います」。

インタビュー終了後もほかのメディアへの対応があるなど、この日は忙しく動き回っていた。そんな彼を見るにつけ「今日は大変でしょう」と訊くと、「ぜんぜん大丈夫。疲れるけどストレスにはならないから(笑)」とニッコリ。

さすがは好きな仕事に全力で取り組む男。この言葉からエネルギーをもらえたような気がした。
ニールス・エガーディンの10問10答

Q1. 現職に就いていなかったら何をしていた?
小さなホテル経営。

Q2. 最近うれしかったことは?
ブランドの35周年パーティ。

Q3. 好きな日本料理は?
神戸牛。

Q4. 健康のために我慢していることは?
大好きなパンを食べること。

Q5. この冬チャレンジしたいことは?
新年のお祝いで真冬の湖で泳ぐこと。

Q6. 最近買った自分へのご褒美は?
「シチズン」のシリーズエイト。

Q7. 今回、買って帰るお土産は?
日本産のウイスキー。

Q8. 日本に来るとつい買ってしまうものは?
妻用にヴィンテージのバッグや腕時計。

Q9. 今狙っているファッションアイテムは?
ブレスレット。

Q10. 普段はどんなファッションですか?
チノーズとドレスシャツ。週末はデニムにカジュアルシャツ。
フレデリック・コンスタント社 CEO ニールス・エガーディン●1978年生まれ。オランダ出身。2001年から11年間、スウォッチ・グループのさまざまなブランドで役職を歴任。12年よりフレデリック・コンスタントグループの営業副部長として参画。18年より同社のマネージング・ディレクター、23年より現職に。


山本雄生=写真 オオサワ系=文

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