「タバコを買いにキャデラックで行けるほどビッグになりたい」と言ったのは矢沢永吉。
キャデラックのようにビッグではなくても、ちょっと出掛ける乗り物がワクワクすれば、人生はちょっと楽しくなると思うのだ。
で、ジャパンモビリティショー2023で見つけた、ちょい乗りモビリティ。こんな乗り物なら、近所に買い物に行くだけでも、気分が上がること間違いなしだ!
【写真9点】「未来のセカンドカー」を写真でチェック ヤマハの美しく過ぎるオープンカー
ヤマハ「TRICERA」。まるで美しい弾丸のようだ。
見たら一瞬で心を奪われるデザイン。ヤマハの3輪パッケージのフルオープンEVのコンセプトモデル「TRICERA」だ。
しかも見た目がいいだけでなく、自動運転化に向かう時代だからこそ、あえて“操縦することの楽しさ”を探求したモデルだという。
トランスミッションなしのBEVだから、アクセルを踏んでハンドルを切ればいいだけ。しかも低速時には後輪と前2輪が逆位相になるため、小回りがメッチャ効く。
一方で高速走行時は同位相になるからレーンチェンジがスムーズ。見た目がスポーツカーとはいえ運転が苦手というパートナーでも、十分乗りこなせるはずだ。
ドライバーを包み込むようなシート。
そのうえで、後輪の逆位相・同位相は手動モードも選択可能。適切なタイミングで位相を変えたりと、ドライバーの腕が試される場面もある。
だからこのマシンを操縦するためのテクニックを磨く必要があるのだが、そんな面倒なことまでできるようにした理由は、“技術を習得する過程は楽しい”からとのこと。
さすが、長年楽器作りに取り組み音楽教室も運営しているヤマハだからこその発想というところか。
写真は前輪と後輪が違う向きを向いている「逆位相」。
最初はオープンカーで目立つから恥ずかしいといっていたパートナーも、次第に子供の送り迎えが楽しくなり、交差点ひとつ曲がるにもタイヤのスキール音まで鳴らしちゃうかも!?
“遊び心”から誕生した、トリシティのオフロード仕様
ヤマハ「TMW」。展示車両は前2輪にそれぞれモーターが、後輪用にエンジンが搭載されているが、今後のパワートレインは未定。
前2輪と後1輪の同社の「トリシティ」と、オフロードバイクの「TW」を掛け合わせたら面白いじゃん!
そんな同社の遊び心が、あれよあれよというまにJMS2023でカタチになった。それが「TMW」だ。
前2輪の水平を保ちながら、車体をリーンさせて2輪バイク同様に走れる。だから転けにくい。それがトリシティの特徴だが、現時点ではまだオフロードモデルがない。
けれど、せっかく転けにくいバイクなんだから、転けやすいオフロードも走れるようにしちゃえ!というわけだ。
このTMWがあれば、途中にオフロードがあるスーパーへも、躊躇なくタマゴを買いにいける。まあ、今どきそんな道路事情は“ポツンと一軒家”的なお宅しかないだろうけど、これが山中のキャンプ場にあったら、街中への買い物が超便利だろう。
そもそも、オフロードを転けないで走り回るって絶対楽しい。オフロード版トリシティ、間違いなくニーズはあると思うので、遊び心で終わらせず、ぜひ市販化のご検討を!
現代のフェローバギーとして復活を熱望したい軽オープン
ダイハツ「OSANPO」。小さいオープンカーだからこそ、ゆったりと自然を楽しんでほしい、という同社の提案だ。
同社の「コペン」しかり、生産中止になったけどホンダ「S660」しかり、軽オープンはこのところ、スポーツカー成分が少し強めじゃないだろうか。
確かに車との一体感は運転するうえで楽しみのひとつだけど、皆が皆、ステアリングを握る手に力を込めるわけじゃない。
重心を低くするのが定石のスポーツカーに対し、車高が少し高い“お散歩”車。
だから「お散歩気分で」軽BEVのオープンカーに乗りませんか?というのが同社の提案した「OSANPO」だ。
最近は愛犬とお散歩する人も多いが、どうしても毎日同じ散歩コースになりがちで、風景がいつも変わらない。
その点、軽BEVのオープンカーなら初雪を見に行こうとか、サクラが咲いたから、とそのときの気分で行き先を決めてオープンエアを楽しめるというわけ。
1970年に100台限定で販売された同社の「フェローバギー(写真)」が、電気の力で蘇る!?
……というか、もっと車高を上げて“現代のビーチカー”にしてくれれば、なお良し!なんだけど。これで砂浜とかも走り回りたい。河原もいいな。森を駆け回るのも楽しいそう。
約50年前に軽バギーを販売したダイハツさんなら、この気持ち、分かってくれますよね!?
どう考えても次期型ハスラー?
スズキ「eWX」。1回の充電で230kmと、日産サクラの180kmより航続可能距離が長い。
次期ハスラーか?と思った人が続出したスズキ「eWX」。とはいえ、まるでSF映画に出てくるロボットのような無表情な顔のおかげで、やけに“このショーのためのコンセプトカー”感も漂うが、よく考えてみれば、今すぐ市販されてもおかしくないようなデザインだ。
何しろトヨタ「プリウス」を見ればわかる通り、もはやヘッドライトが丸かったのは過去の話。eWXのように角を丸くした四角の線内に埋め込まれても不思議ではない。“角の丸い四角”はフォルムにも、インパネにも、ステアリングにも、あらゆるところに用いられている。
現状、電気自動車で遠出をしようと思ったら、沢山バッテリーを積まなくちゃならない、つまり大きくしなきゃいけない。その分、充電に時間がかかる。その点、日産「サクラ」はちょい乗り前提の軽自動車BEVという道を切り開き、ヒットした。
今のところ軽自動車BEVは日産サクラと三菱「eKクロスEV」しかない。そこに、このロボコップ風ちょい乗りハスラーが出てきたら……。考えるほど、単なるコンセプトカーじゃないのがeWXだ。