日本のフレグランスブランド、アポテーケ フレグランスによるBP.オリジナルのお香がセットに。シダーウッド、サンダルウッドなど木の香りにナツメグを効かせたウッディグリーンの香りが特徴だ。φ250×H52cm 3万3000円/BP.(BP. / ファイル bp@phyle-inc.com)
「藤井隆行の視点。私的傑作批評」とは……▶︎すべての写真を見る いつもこの連載を見てくださっている方はお気付きかと思いますが、僕は昔から、丸い、あるいは丸みを帯びているデザインがとても好きです。
たとえば建築は、壁や床、柱など基本的に直線で構成されているので、インテリアや雑貨には丸みのあるものを取り入れるとバランスが取れると思っています。だから自宅には丸窓を作ったり、シャルロット・ペリアンの丸いスツールを置いたりしています。
そもそも服だって直線に縫うもので、ポケットのフラップや襟などを四角くすると男性的になりますが、部分的に角を取って丸みを加えるとやわらかい印象になるのです。
毎朝お香を立てる習慣があるのですが、お香立てというのはたいてい直線的ですよね? ところが、このBP.の香炉は丸いんです。しかもお香を立てたり置いたりすると、直線と丸の完璧なバランスが完成します。
BP.は、照明などのプロダクツを一つひとつハンドメイドで生産している東京のスタジオ。
この香炉は真鍮のトレーに、穴の空いた支柱を立てただけのシンプルなデザインで、スティック状のお香を垂直に立ててもいいし、付属のピンを使えば写真のように横置きにして使うこともできます。
丸いすり鉢状なので、燃えたお香の灰が飛び散る心配もないし、なにより朝、お香に火をつけながらこの丸い形を眺めているだけで、心に平穏が訪れるような気がします。
そういえば車だって、丸いタイヤが付いているからデザインとしてバランスがいいのかもしれないし、街中にあるマンホールだって建物が並ぶ景観の中でいい役割を果たしている。
気付けば世の中にはひっそりと活躍している丸いものがたくさんありますね。丸い形は、いろいろなところでバランスを取ってくれる万能のフォルムなのかもしれません。
藤井隆行●東京を代表するブランド、ノンネイティブのデザイナーで、ファッションからライフスタイルまで一貫したこだわりを持つ。「第2弾となるミズノ×ノンネイティブのスニーカーが12月に発売されます。今回のカラーもかなり使えます。ぜひ、店頭またはオンラインで!」。