早期に発見して対処できるからむしろありがたい
ただ、昔の記憶があるX世代には「すぐに弱音を吐く」というように無意識的に感じてしまうのではないでしょうか。しかし私は、彼らZ世代がすぐに弱音を吐くことは、良いことではないかと思います。
我々X世代は弱音を吐くことをダメ扱いされていたせいで、本当に辛いことがあっても、休んだり逃げたりすることができずに、結局つぶれてしまうことがよくありました。
たかが仕事で人生を狂わせる必要などありません。これ以上行ったらどうにかなってしまうと思うほど辛かったら、きちんと辛いと上司や周囲に告げて、自分を守ることは大切です。
会社も社員を潰したいと思っているわけではないですから、むしろ「アラートを上げてくれてよかった」とも思っています。
実際、現在ではいろいろな会社で「密かにメンタルを病んでいる人がいないか」と、サーベイなどを使って早期発見しようとしているところが増えています。
「勝ち負け」にこだわらないから弱音も吐ける
Z世代の特徴のひとつに価値相対主義というものがあります。「みんな違ってみんないい」と、多様な価値観をそれぞれ認め合うような考え方です。
彼らは「こうでなくてはならない」という絶対的な価値観をあまり好みません。自分はこうだけれども、そういうことがあってもいい、と思っています。
価値相対主義を持っている人は競争を好みません。競争とは何らかの絶対的なモノサシを基準に人を比較するものだからです。
彼らに「あいつに負けてもいいのか!」とか「MVPを取りたくないのか!」などと言っても、「はい、別にそれはどっちでもいいです」となるのがオチです。
彼らは「自分のモノサシ」で自分を測りたいので、他人との「勝ち負け」は関心がないのです。それで、弱音も吐きやすいのではないかと、私は思います。
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