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価格帯やサイズ感から考察するライバル車

写真左がZグレード、写真右がZ+グレード(写真:三木宏章)

写真左がZグレード、写真右がZ+グレード(写真:三木宏章)


あくまで私見だが、WR-Vのライバル車としては、おそらくトヨタ自動車(以下、トヨタ)の「ライズ」と、兄弟車であるダイハツ工業(以下、ダイハツ)の「ロッキー」になるだろう。これらは、WR-Vより車格が小さいスモールサイズSUVだが、いずれも2019年11月の発売以来、SUVセグメントで常に高い人気を誇っているヒットモデルだ。

しかも、価格(税込み)は、ライズが171万7000円~233万8000円、ロッキーは167万7000円~237万7900円。WR-Vの価格設定は、まさにこれら2機種にぶつけてきた印象さえある。

ホンダアクセスの純正用品を装着したカスタマイズ仕様(写真:三木宏章)

ホンダアクセスの純正用品を装着したカスタマイズ仕様(写真:三木宏章)


両モデルには、1.2Lエンジンで発電しモーターで走るハイブリッド車もあり、ガソリン車のみのWR-Vよりもラインナップは多い。ただし、ライズとロッキーのハイブリッド車は、2023年5月19日より販売・出荷を停止している。

これは、海外向け車両の側面衝突におけるダイハツの不正行為が判明したことによるものだ。現時点(2023年11月11日現在)では、販売や出荷をいつ再開するのかなど、明らかになっていない。

WR-Vが発売される2024年春までに、これらライズやロッキーのハイブリッド車が再び出荷や販売されなければ、対抗車は2機種のガソリン車のみとなる。

「TOUGH STYLE」と名付けられたカスタマイズ仕様のリアビュー(写真:三木宏章)

「TOUGH STYLE」と名付けられたカスタマイズ仕様のリアビュー(写真:三木宏章)


しかも、車両のサイズ的にいえば、ライズとロッキーは全長3995mm×全幅1695mm×全高1620mmと、WR-Vよりコンパクトだ。同じような価格帯のガソリン車で、ワンランク上のモデルが買えるとすれば、WR-Vの購入を検討するユーザーもより多くなることが予想できる。

ちなみに、スバル「レックス」もロッキーのOEM車だが、こちらは1.2Lガソリンの2WD車のみで、価格(税込み)182万円~217万1100円(ハイブリッド車の設定なし)。価格帯やパワートレインの設定を考慮すると、こちらもWR-Vの競合車となる可能性は十分にある。

コンパクトSUVの人気モデルには、ほかにも、トヨタの「ヤリスクロス」もあり、価格(税込み)は189万6000円~293万6000円。このモデルにもハイブリッド車とガソリン車の設定があるが、WR-Vと同じガソリン車の2WD(FF)であれば、価格(税込み)は189万6000円~236万7000円。やはり価格帯はWR-Vと近い。

また、車体サイズも、ヤリスクロスのガソリン車は全長4180~4200mm×全幅1765mm×全高1580~1590mmだ。前述したWR-Vの車体サイズ(全長4325mm×全幅1790mm×全高1650mm)よりやや小さいが、車格的には同等だといえる。そう考えると、直接的なライバル車となるのは、ヤリスクロスのほうかもしれない。

低価格帯の新型SUV国内導入はユーザーに響くのか

Zグレードのサイドビュー(写真:三木宏章)

Zグレードのサイドビュー(写真:三木宏章)


従来、ホンダのSUVラインナップは、ヴェゼルとZR-Vの2機種しかなかったため、豊富なラインナップを誇るトヨタをはじめ、マツダやスバルなどの他メーカーと比べると、かなり手薄だったことはたしかだ。新型WR-Vの登場により、ホンダ製SUVは、3機種で200万円~400万円台という、より広い価格レンジをカバーすることになる。

なかでも、200万円前半~250万円のWR-Vは、近年成長が著しいSUV最激戦区への投入になる。しかも、開発から生産までをアジアで手掛けたモデルを日本導入するというのは、新しい試みでもある。そうしたホンダのトライアルに、日本のユーザーがどのような反響を示すのかが今後注目だ。


提供記事=東洋経済ONLINE

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