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キャリアに甘んじない向上心の源とは

着実にキャリアを積み、日本を代表する俳優のひとりとなった小栗さんだが、その向上心は留まることを知らない。最近は改めて演技の勉強にハマっているという。

「ある程度キャリアを重ねてくると、簡単にこなせることが増えて、流れ作業みたいになりがちです。それが良い技術か、悪い技術かはわからないですけど、誰もが“なんとなく見せる”ことができるようになってくる。

ただ、それだと本当の意味で、観ている人の心を掴むのは難しいのではないかという気持ちがずっとあって。このままじゃダメかなと思っていたので、演劇のメソッド本を読み漁ったりして、お芝居のベーシックみたいなものを、もう1度自分のなかで落とし込むような作業をしています」。

小栗さんの役作りは、毎日最低30分でも台本に目を通すところから始まる。それは台詞を覚えるというよりも、早いうちに自身の内側に役柄のベースを作り、徐々に自分と役柄を重ね合わせていくのに近い。

そして台本に書かれた心情や台詞に納得がいかないことがあれば、一度考えることをやめるという。ただそのときは考えることを手放しても、頭の片隅にはいつも芝居があり、日常生活のなかでも常に役柄について考えている。

「普段通り過ごしていても、あるとき『あ、そっか、あの台詞はこういう環境だから生まれたんだ』と、気付くことがあるんです。僕にとって芝居はそんな発見をしていく作業ですね。

仕事のことが常に頭から離れない。普通に考えたら疲れそうな状況だが、「演ずるということは趣味の延長線上みたいなものなので。やりたいことを実現できている状況がありがたいですね」と小栗さんは笑う。


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