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2023.11.30

ライフ

【読者プレゼント】ハワイでサーフブレイクを表現するアーティスト、スティーブン・キーンの木版画


「Feel Hawaii」
ハワイのアートシーンが今、盛り上がっている。その大きな理由は、パンデミックを機に若いアーティストたちがハワイに続々と移住したことや、ロコの人々がハワイのアートやクラフトの価値を再発見したことと言われる。
 
オーシャンズでは、そんな今のハワイのアーティストにインタビュー。その魅力をみなさんに直接お届けするべく、インタビューしたアーティストの作品をプレゼントする。
【写真11点】アーティスト「スティーブン・キーン」を写真でチェック

初回のポール・フォーニーに続き2回目はこんなアーティストだ。

SURF & ART。サーフブレイクを木版画で描くスティーブン・キーン

スティーブン・キーン(Steven Kean)●ペンシルベニア州で生まれ育ち、高校で美術教師として教壇に2年間立つ。その後ハワイに魅せられて移住。ホノルル美術館のアウトリーチプログラムのインストラクターを経て版画家に。サーフィンをこよなく愛し、サーフィン発祥のハレイワ近くに暮らす。2016年のハレイワアートフェスティバルで注目を集め、2017年に「Vans World Cup of Surfing」のアートワークにも選出。2018年にハワイ、日本で個展も開催。フードランド(スーパーマーケット)をはじめ、コラボ企画も多数。https://keanarts.com

スティーブン・キーン(Steven Kean)●ペンシルベニア州で生まれ育ち、高校で美術教師として教壇に2年間立つ。その後ハワイに魅せられて移住。ホノルル美術館のアウトリーチプログラムのインストラクターを経て版画家に。サーフィンをこよなく愛し、サーフィン発祥のハレイワ近くに暮らす。2016年のハレイワアートフェスティバルで注目を集め、2017年に「Vans World Cup of Surfing」のアートワークにも選出。2018年にハワイ、日本で個展も開催。さまざまな企業とのコラボ企画も多数実施する。https://keanarts.com



スティーブン・キーン(以下スティーブン)のスタジオは、オアフ島 ノースショアのワイアルアという町にある。

サーフィン聖地、ハレイワから車で10分ほど、1960〜70年代のミッドセンチュリーの趣が残る住宅が今も並ぶ町だ。

ミニマムに整理整頓されたアトリエ。ほぼここで印刷まで完了できる。

ミニマムに整理整頓されたアトリエ。ここで印刷までがほぼ完了できる。


彼も古き良き時代がそのまま残る建物を手に入れ、リノベーションして居心地のいい空間に仕上げている。


サーフィンをしているときの気持ちを作品に込めて

スティーブンの作品「Deliverance」。ハワイ全体の夢のようなサーフシーンを思い描いて作った。

スティーブンの作品「Deliverance」。ハワイ全体の夢のようなサーフシーンを思い描いて作った。


「ハワイはとても刺激的。すべてが生きいきとしていて、緑が多く、天気もいい。特にサーファーである僕の作品のほとんどは、サーフブレイクや海辺の風景。

ハワイに住んでいなかったら、このようなアートワークは出てこなかったと思う」。

その中でも、ノースショアは特別だという。

自然との一体感を表現したいから、環境を常に意識している

穏やかな口調で言葉を選びながら、時折笑顔を浮かべて語るスティーブン。 ※ハワイ州観光局「マラマハワイ」のページはこちら。

穏やかな口調で言葉を選びながら、時折笑顔を浮かべて語るスティーブン。 ※ハワイ州観光局「マラマハワイ」のページはこちら



「いつも環境に配慮することを意識している。僕のアートワークでは、海の美しさや海で感じる感覚を表現しようとしているから。

誰もが、ビーチでゴミを見つけたら、自分のものでなくても拾ってゴミ箱に入れる。土地を大切にし、土地の美しさに感謝する。この地に住む人にとっても、旅する人にとっても、とても大切なことだと思う。

自然との一体感を考えれば、両方を大切にすることができると思うし、旅をしたときは、訪れたときよりも良い状態にして帰りたいと思うよ」。


ハワイ大学で版画を学び、アーティストのスタートラインに

アトリエの近く、山も見える自然豊かな場所。海にも近い。

アトリエの近く。山も見える自然豊かな場所で、海にも近い。


「ペンシルベニアの高校で美術教師を務めていたときに、ハワイにいる友人が、『遊びにおいでよ。きっと気に入ると思うよ 』って。

結局ハワイではホノルル美術館のアウトリーチプログラムで教える仕事に就いた。2014年にハワイ大学で版画の勉強を始めて、2016年にホノルルの "Manifest "という場所で初めてのアートショーを開き、ハレイワのカフェ(ザ・ビート・ボックス・カフェ)に自分のアートを置いてもらうことになったんだ」。

シンプルなモノクロの世界は、サーフィンと似ている

サーフィンをしているその瞬間を感じながら彫り進めた。

サーフィンをしているその瞬間を感じながら彫り進める。


夏は波が大きくないから、サーフィンに行く回数が減るそう。でも冬は週に4回かそれ以上海に入る。

「作品のほとんどはモノクロで、このモノクロのシンプルさが好きなんだ。そして作品は滑らかできれいな線がポイントで、それはサーフィンをしているときと似ていると思う。

無理に何かを作ろうとせず、波とつながるように心がけている。だから、人々が私の作品を見ているときも、僕が作品作りの中で感じているような気持ちになってもらえたらと思うんだ」。


1年ほど前に出会った、日本のシナ材

製作中のスティーブン。一彫りひと彫り静かに淡々と。

製作中のスティーブン。一彫りひと彫り静かに淡々と。


作品の話になると、スティーブンは静かな口調ながら熱を帯びてくるのがわかる。「最近は日本のシナ材を使っている。この前日本に行ったときに買ってきたんだ」。

愛用の道具たち。微妙な角度や研ぎ方だけでも作品に影響が出てしまう。

愛用の道具たち。微妙な角度や研ぎ方だけでも作品に影響が出てしまう。


「以前は、MDF材というリサイクル木材のような複合材を使ったり、チェリー材も使ったことがあるけれど、シナがいちばん好きだね。印刷するときは、インクをつぶさないように……」。

圧力の掛け方は熟練の技が必要だ。

原画はすべて自分でプリント、コラボの楽しさも

木版とインクと対話しながら慎重に刷り上げていく。

木版とインクと対話しながら慎重に刷り上げていく。


数年前に自分の印刷機を購入したので、自宅のスタジオですべての仕事ができるようになり、近年はカハラ地区のKahala MKT by Foodlandにある大きな作品でも注目されている。

「原画はすべて自分でプリントしていて、しかも枚数は限定している。プリントの下部にこれは何枚目にプリントしたかを数字で書くんです。また、オリジナルのプリントをスキャンして、ジクレープリントと呼ばれるデジタル複製も作っているよ」。


スティーブンに将来のことを尋ねると「今いる道を進み、自分のアーティストとしてのスキルを向上させ、創作を続けていくつもり」と静かに答えた。

それは一彫りひと彫りを慎重に彫り進める、優しくも意志の強い姿と重なった。

大事な時間を過ごすアリイビーチ。

大事な時間を過ごすアリイビーチ。


彼は、日の出前に目が覚めると、家でコーヒーを淹れて一呼吸、そしてハレイワにあるアリイビーチに向かう。そして海を眺めながらひとときを過ごす。

そんな穏やかな時間が、彼の新たなアート作品の生み出すようだ。 
応募方法 
スティーブンの作品を、オーシャンズ読者1名の方にプレゼントします。



応募は以下のフォームよりお願いします。

応募期間:2023年11月30日(木)〜2023年12月28日(木)17:00まで。
当選者:1名
抽選結果:2024年1月4日(木)以降、当選者の方へのみご連絡差し上げます。


宮澤 拓=撮影 本間律江=取材 Galura百合子=取材協力

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