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ポケモンにまつわる、兄とのほろ苦い思い出

僕は40年以上生きてきて、ポケモンというゲームをちゃんと遊んだことがありませんでした。中学生の頃、4つ年の離れた兄に「やってくれ」と言われて少し触った程度です。

ポケモンには通信機能があり、お互いの所持しているポケモンを通信交換することができます。交換することで「進化」、つまり強くなるポケモンがいます。

「いったんこのポケモンをお前に送るから、そのままそれを送り返してくれればいい」。

兄が悪徳商法みたいな指示をしてきました。



通信交換で進化するポケモンは送り先で「進化」してしまうので、それを手に入れるにはもう一度送り返してもらわなければならないのです。僕はポケモンを持っていなかったのですが、兄は「赤」と「緑」の両方を買っていて、そのうちの一つを僕に渡してきたのです。

言われるがままにプレイし、僕が送った岩の塊のようなポケモンを手に入れると、兄はうれしそうにどこかへ行ってしまいました。

兄の命令で触れただけなのでその後プレイすることはなく、僕の“初めてのポケモン”はそこで終わりました。あの頃の兄には交換してくれる友達がいなかったのだろうか……と思うと、口の中にほろ苦い味が広がります。


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