▶︎すべての写真を見る これまで数々の傑作ニットを世に送り出してきた、「サンカッケー」尾崎雄飛さんと「バトナー」奥山幸平さん。
ニットをゼロから作るならば、自ら産地に赴き、オリジナルの糸からこだわるのが信条。
そんなおふたりに、カシミヤニットを選ぶ際の重要な視点について伺った。
カシミヤニット談義
「サンカッケー」 デザイナー 尾崎雄飛さん(43歳)●2007年、高品質のカットソーに特化したブランド「フィルメランジェ」を設立。12年、独立を果たし、以後ブランド「サンカッケー」を手掛けるほか、尾州の旧式織機を買い取り、生地メーカーとしても活動。
尾崎 ネイビーのカシミヤニットといえば「定番中の定番」というイメージですが、バトナーでも毎シーズン出していますよね?
奥山 ネイビーはやっぱり柱となる色。トラッドの基本ですよね。
「バトナー」デザイナー 奥山幸平さん(45歳)●山メリヤスの3代目。2013年にファクトリーブランド「バトナー」をスタートして注目を集める。幼少の頃よりニット作りを目の当たりにしてきた生粋のマイスター。
尾崎 一枚は持っていたい色。そして、そもそもカシミヤが、この数十年でかなり身近な存在になりましたよね。
サイズ:2 カシミヤ:100% 身幅:56cm 着丈:70cm。内モンゴル産の限られたイノセントカシミヤを採用。度詰めで編みつつ時間をかけて洗いを施して、驚くほど柔らかく仕上げている。「気持ち良さはもちろん、ゲージに対してできるだけ太い番手の糸を使っているので、暖かさも想像以上です」(奥山)。8万8000円/バトナー 03-6434-7007
奥山 そうですね。今回、ここにピックアップされたニットを見るだけでも、製法や糸が多様化してきているな、と。デザインに合わせてさまざまな質感を選べる。ただ、バトナーはファクトリーブランドということもあり、100%ピュアなモノづくりが求められているし、それに特化するようにしています。
尾崎 いやぁ、バトナーは言うならば“産地直送”。「やっぱりかなわないな〜」と(笑)。自分もゼロからニットを作る場合は、糸から作るほうがコスパが良くて納得できるものができると思っています。
カシミヤの保温性の高さは、ゲージに対する糸の太さや密度に左右される。度詰めでしっかりと編み込まれたカシミヤは風を通さず、体温を逃さないため見た目以上に暖かい。
奥山 でも、カシミヤニットの良し悪しって、その人のライフスタイル次第ですよね。何でニットを着るのか、というところ。バトナーは体温を逃さないという特性を徹底的に追求していますが、もしかしたら暑がりの人にはトゥーマッチかもしれない。
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