“THE DAY”が幸福の瞬間
最も幸福を感じる瞬間を訊くと、不思議な話をしてくれた。「決してスピリチュアルなことではないのですが」と前置きをしつつ。
「半年に一度くらいなのですが、山や海にいると、自然そのものを深く感じ取れる瞬間があるんです。例えばスノーボードをしていて、粉雪が舞う雪山で突然静寂に包まれるとき。サーフィンをしていて、無風で滑らかな海面に綺麗な朱色の朝日が映るとき。そんな瞬間に、地球全体にウェルカムされているといいますか、雄大な自然に思いっきり抱きしめられている気がするんですよね。
そのときはすごく幸せで、仲間うちではそういう瞬間が訪れた日を”THE DAY”と呼んでいます。気候も良く穏やかで風もなく、晴れ渡っているのにほかに誰もいない。そんな日はなかなかないのですが、でも飽きずにずっと海や山に通っていると、突然降ってくるように訪れるんです」。
最後に、ウェルビーイングな人として今後の目標について訊くと「特にないです」ときっぱり。これには本間さんなりの深い理由がある。
「自然と共に生きる、というコンセプトを掲げて仕事をしているからこそ、自然とは何か、自然の中で生きるとはどういうことなのか、ということを日々考え続けています。
そんななかで見つけたひとつの答えが「食べる」でした。自然のなかで生きるということは、とりもなおさず、何かの命を獲って食べることだなって。食べたから、そのエネルギーで今日を生きる。明日を生きる。現代社会で生活をしているとついつい効率とか合理性、目標、どうやって社会の役に立つか、といったことを重要視してしまいますが、本質は食べて生きる、それしかないんだなと。
そういう意味では、私たちは生きるというある種の目標を日々達成し続けている。だから、いいじゃないかと。それ以外の目標は、なんだか持たなくていいような気がしているんです。日々のなかでベストを尽くす。もらった命に感謝しながら、ただ生きていく。
だから今日も明日も、これからもずっと、今までどおり自然に触れつつ毎日を楽しんで、友達を大切にしていきたい。僕らが思っている以上に自然は強く、大きい。そして私たちは小さな存在です。だからこそそんな自然に胸を借りるつもりで、のびのびと面白いことをやっていきたい」。
さすがはTHE DAYを知る男。本間は自然をマブダチのように熟知しているだけでなく、誰よりも自然を愛し、自然から愛される男なのだ。
本間貴裕が2024年に挑戦したいこと!