趣味が自分の本質的な感覚を研ぎ澄ます
本来の自分を見失わないために、小橋さんが大事にしているのが本質的な感覚だ。サーフィン、旅、メディテーション……その趣味の多くは、自分の感覚を研ぎ澄ますために必要なものになっている。
「今の時代、情報が優先されて、思考で物事を捉えがちになりますよね。でも旅に出ると、自分の常識からは逸脱した、予測不可能な出来事に出会う。それに対処するためには、ある種の動物的な感覚が必要になると思うんです。
怖がってばかりいたら旅はできないけれど、誰でも信頼していたら危険が伴う。生物として持っていたであろう、右脳的な部分をいかに研ぎ澄ますかによって、旅は深まるし、面白くなる。
サーフィンもそうです。台風のときは怖いけれど、いざ立ち向かえば、恐怖を超えた何かがある。メディテーションも今この瞬間の自分の状態に気付くためのもの。
ただ、一時期はハマりすぎて1日2時間もメディテーションをしていたんですけど、途中でやりすぎだなと思って、今は1日1時間に減らしました(笑)。
ワークライフバランスってよく言いますけど、時間で言ったらワークの方が圧倒的に長いじゃないですか。でも2時間のサーフィンには、8時間のデスクワークと同じぐらいの充足感がある。だからこそ早起きをしてでも時間を作ることが大切なんです」。
1日を気持ち良く過ごすために小橋さんは呼吸法と瞑想をルーティンにしている。一方でそれに縛られすぎないようにも気を付けているともいう。
「決めすぎちゃうとルーティーンじゃなくて、HOW TOになってしまうと思うんです。だから例えばサーフィンに行く日は、今日のメディテーションはサーフィンにしようと切り替える。
だって、波がいいのに、メディテーションしなきゃって縛られたら、ストレスじゃないですか。何のためにやっているのかと言ったら、人生を豊かにするためですから」。
遊びだけでなく、仕事も小橋さんにとってはウェルビーイングの一環だ。
「仕事は大変なものですが、そこに集中して達成していくときも同じようにウェルビーイングを感じます。
例えば山登りでもマラソンでも、ものすごく苦しいけど、あるときにランナーズハイやクライマーズハイが、ストーンとやってきますよね。その感覚は仕事でもなるときがあって。
プロセスが大変だからこそ、深い集中状態に入ると左脳ではない、何かと繋がった忘我の境地になる。僕はこれも幸せの1つの形なんじゃないかと思っています」。
3/4