アラフォーになるとなにかと体の不調が出てくるもの。なかでも勃起障害、いわゆる「ED」は夫婦やカップル問題、さらには家族計画にも支障をきたすから実に厄介だ。
今回はライズクリニック錦糸町の佐貫榮一先生に、中年男性こそ注意すべき「器質性ED」について話を聞いた。
話を聞いたのはこの人!
佐貫榮一●ライズクリニック錦糸町院長。日本大学大学院医学研究科博士課程修了。ハイパーサーミアやその他数々の分野の指導医、日本大学准教授、医療法人恵陽会長沢医院長などを経て、現職。EDに悩む患者の治療などに尽力している。
中高年は特に注意すべき「器質性ED」
――そもそもEDはどんな病気なんですか? 勃起の機能に問題がある状態を「ED(勃起障害)」といいます。日本性機能学会では「性交時に有効な勃起が得られないために満足な性交が行えない状態で、通常性交のチャンスの75%以上で性交ができない状態」をEDの目安としています。
――EDに悩んでいる人ってどれくらいいるのでしょうか。 日本のEDの患者数は約1000万人といわれています。50歳になるまでに約6割の人がEDを経験するとも。
ーーそんなに! 実は身近なんですね……。 EDには大きく分けて、「機能性」と「器質性」の2種類があります。機能性EDは焦りや緊張などの心因性、躁鬱や神経症などの精神的な問題が原因で起こるもので、若年層に多いのが特徴です。
一方、中年層以降に増えてくるのが
体に問題がある器質性EDです。
――体の問題とは? スポンジ状の勃起性組織である海綿体、血管、神経、あるいはホルモン分泌などに異常をきたし、勃起不全になるのが器質性EDです。
主な原因は、血管障害、神経障害、内分泌機能低下、外科手術や外傷の影響などです。
血管障害の多くは動脈硬化です。動脈硬化は加齢によりますが血中コレステロールや中性脂肪の増加する脂質異常症や高血圧、糖尿病、肥満なども大きな原因です。
神経に異常がある場合は、脳出血、てんかん、パーキンソン病、アルツハイマー病、糖尿病などによる神経障害が挙げられます。
内分泌機能の低下は、40代以降に多く見られます。加齢、ストレス、飲酒、喫煙などで男性ホルモンのテストステロンが減少し、性腺機能が低下することによってEDになるといわれています。
器質性EDは、前立腺腫瘍や直腸がんの手術も原因になることがあるという。
――器質性EDの症状を教えてください。 性交時に勃たない、勃ってもいわゆる中折れをしてしまう、勃起はするが硬さがないといった症状です。
――メンタル面は関係ないですか? 分類上はそうですが、器質性と機能性を合わせた混合型の人も少なくありません。血管や神経に異常があることで勃起機能が低下し、それを気に病んで、さらにEDが悪化することもあります。
また「パートナーに対してのみ勃起しない」「妊活中の性交時のみ勃起しない」といったシチュエーションによるものは、器質性というよりは心理的な影響が強いと考えられます。ED薬を上手に使うことで治ることも少なくありません。
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