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ファーストカーとして選ばれる軽自動車

続いて、そのクルマが日々の生活の中でどのように使用されているのかを見る指標の1つ、「保有台数」を確認する。



注目すべきはN-BOXの「1台のみ(購入車のみ)」の多さである。つまり、セカンドカーとして軽自動車を購入しているのではなく、ファーストカーとして通勤や送迎、レジャーなどにフル活用しているわけだ。

車種間で比較すると10pt弱の差とはいえ、N-BOXは他の軽スーパーハイトワゴンよりも世帯内での役割が多いと考えられる。

ちなみに、世帯内で他に保有するクルマ(併有車)は、N-BOXとルークスでは同メーカーであるホンダ、日産である人が最も多い。一方でタントとスペーシアでは、トヨタ車が1位だ。



ダイハツとスズキは、軽自動車とコンパクトカーが中心のメーカーであるため、おのずとファーストカーは他メーカーに。そして、豊富なラインナップと販売店網を誇るトヨタを併有する人が多くなるのだろう。ちなみに、N-BOXとルークスに目を戻すと、2位にはトヨタが入っており2割程度を占有している。

いったい、どのような人々が買っているのか?

ここまで、購入検討車種や世帯内での立ち位置を見てきた。では、それぞれの車種の購入者の属性は、どうであるか。

以前、「人気の『スーパーハイトワゴン』購入車の実態」で、性別・年齢といった基本的な属性情報を紹介している。そのため、今回はそこから一歩踏み込んで、インテージの自主調査データより「メーカー再購入意向」の指標を確認していこう。

具体的には「あなたが次回、車を購入するとしたら、次も同じメーカーから購入したいと思いますか」の質問に対し、「確実に同じメーカーから購入したい」と答える人の多さである。



結果はN-BOXとルークスが高く、タントとスペーシアが低くなっている。しかし、N-BOXとルークスとも非常に高いわけではなく、2割弱にとどまるボリュームだ。

この結果の読み解き方の1つとしては、N-BOXを販売するホンダ、ルークスを販売する日産は「登録車のラインナップが比較的多い」ことが考えられる。

ルークスは2023年のマイナーチェンジでフロントのデザインが変わった(写真:日産自動車)

ルークスは2023年のマイナーチェンジでフロントのデザインが変わった(写真:日産自動車)


たとえば、ホンダなら「フィット」「ヴェゼル」「フリード」「ステップワゴン」など、日産なら「サクラ」「ノート」「キックス」「エクストレイル」「セレナ」などだ。

一方、軽自動車をラインナップの中心に据えるダイハツのタントとスズキのスペーシアは、そのぶん車種の選択肢が減るため、「確実に同じメーカーから購入したい」人が少なくなるのだろう。

次は、もう少し深掘りするために「顧客構成」の考えを用いて、「どのような人々が購入しているか」を、購入者を次の5つに分類して見ていく。

<購入者5分類>
■新規:初めて自動車を買った人
■2連続リピート:1つ前の車と同じメーカーから購入した人
■3連続リピート:1つ前だけでなく2つ前の車も同じメーカーの人
■スイッチ:1つ前の車と違うメーカーから購入した人
■出戻り:以前購入したメーカーに戻ってきた人

この5つのセグメントの構成を車種ごとにまとめたものが、次の「顧客構成」だ。



車種同士で比較してみると、最も特徴的なのはルークスの「3連続リピート」の多さで、実に5割を超える。次いで3連続リピートが多いのは約3割のN-BOX、2割前後のタント、スペーシアと続く。

顧客構成の概念において、獲得すべき人々は「3連続リピート>2連続リピート>スイッチ」の順である。

なぜなら、「スイッチ」よりも「2連続リピート」を、「2連続リピート」よりも「3連続リピート」を多く確保することが、メーカーやディーラーが継続的に収益を確保していくうえで重要となるからだ。よって、この観点においては、ルークスはN-BOXを上回ると言える。


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