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フルモデルチェンジを控えて

最後に、ここまでの情報を整理してみよう。
(1)販売台数ではN-BOXが頭1つ抜けており、2位集団をタントとスペーシアが争い、そのやや後方にルークスが続く。
(2)メーカー再購入意向ではN-BOXとルークスが高めのグループで、タントとスペーシアが低めのグループであった。
(3)顧客構成を見るとルークスの「3連続リピート」が断トツの多さであり、次いでN-BOX、タント、スペーシアの順となった。
N-BOXは、その販売台数が示すように大ベストセラーであり、ホンダファンだけでなく、他のメーカーから奪取する形で購買層も広く獲得できている(上記にて「スイッチ」が約4割となっている)。

ルークスは、「3連続リピート」の多さ、そして再購入意向の高さから、「次も日産で買いたい」という意向を持つ日産ファンに支えられている。ところが販売台数ではタント、スペーシアに水をあけられているので、日産ファン以外をあまり取り込めていない問題が見えてくる。

タントとスペーシアは、お互いに競り続けている印象だ。これはタントとスペーシアというよりは、ダイハツとスズキの長きにわたる戦いの1つであり、代表戦とも言えるかもしれない。

まもなく発売と目される新型N-BOX(写真:本田技研工業)

まもなく発売と目される新型N-BOX(写真:本田技研工業)


代替購入が大部分をしめる自動車市場において、強固な顧客基盤の維持拡大は非常に重要だ。ライフステージの変化にともなって求めるボディタイプやサイズが変わっても、同じメーカーから購入する可能性の高い顧客は、利益貢献の大きい優良顧客だからだ。

ホンダはN-BOXという大ヒット商品を通して、新規ホンダオーナーを多く獲得してきた(一方、ホンダオーナーのダウンサイジングによる収益減も課題となっているが……)。

まもなく発売される新型N-BOXでは、どれだけ既存顧客からスムーズな代替購入へと導けるか、そして新たな顧客を他社オーナーから獲得できるだろうか。物価高やガソリン価格の上昇などにより、ダウンサイジングを希望するユーザーは一段と増えるかもしれない。

N-BOXがこの先も王者であり続けるか。追われる立場としての新型N-BOXの動向が気になる。

三浦太郎=文
東洋経済オンライン=記事提供

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