「偏愛さんいらっしゃい」とは…… 1947年にフランソワ・サロモンが、フランス南東部にあるアルプスの町・アヌシーで創業した「サロモン」。
もともとはスキーやトレイルランニングなどアウトドアシーンで人気のブランドだったが、2010年代中期から急速に、スニーカーがファッション感度の高い人物やブランドの支持を集め始めた。今や街中で見ない日はないと言っていいほどライフスタイルに浸透している。
そんなサロモンスニーカーの魅力に、いち早く取り憑かれた男がいる。ファッションブランド「バル(BAL)」でデザイナーを務める蒲谷健太郎さんだ。
▶︎すべての写真を見る 蒲谷健太郎●ファッションブランド「バル(BAL)」のデザイナー。スニーカー愛好家として200足以上を所有するが、ここ数年のお気に入りはもっぱらサロモン。
デザイナーとしてアシックスやリーボックとのコラボモデルを手掛けるだけでなく、バルでオリジナルモデルの制作も始めた、スニーカー愛好家である蒲谷さん。現在200足近く保有しているうち、30足以上がサロモンだという。
20年以上にわたり、スニーカーと接してきた業界屈指のフリークはなぜサロモンにハマったのか。出合いから愛用モデル、そして初心者に向けて購入時のポイントまでを語ってもらった。
サロモンに目覚めたきっかけは、人気セレクト別注
蒲谷さんが初めて購入したサロモンのスニーカー「スピードクロス」。こちらはインラインモデル。
ーー蒲谷さんがサロモンに魅了されるようになったきっかけを教えてください。 蒲谷健太郎(以下、蒲谷) 初めて認識したのは小学生の頃で、スキーブランドとしてでした。その後、2000年頃にニューヨークのシュプリームでサロモンのスニーカーを取り扱っていて、現地のスケーターやヒップホップ周りの人たちの間で一瞬だけ流行った時期があったんですよ。そのときにサロモンのスニーカーを知りました。
それからしばらくして、2018年にパリの人気セレクトショップのザ・ブロークン・アームが別注モデルの「XT-4」を出していて、それをインスタグラムか何かで目にしてハマりました。
蒲谷さんが2018年に購入したザ・ブロークン・アームとのコラボ「XT-4」。
ーー初めて手に入れたサロモンは「XT-4」? 蒲谷 いえ、2018年にインラインで発売されていた「スピードクロス」です。現在パレス スケートボードのデザイナーをしている“ナゲット”ことガブリエル・プラックローズや、ショップクルーたちがスピードクロスを履いているのが格好良くて真似して買いました。
その後、ほぼ同タイミングで発売されたザ・ブロークン・アームとの「XT-4」も手に入れたんです。グラデーションの雰囲気がナイキの「エア マックス プラス」を彷彿させて、ヨーロッパっぽい配色でかなり気に入っていましたね。これ以降、どんどんと所有数が増えていきました。
ザ・ブロークン・アームとの別注モデルは、「良いのが出たら買おう」くらいの気持ちで集めるつもりはなかったんですが、気づけば「XT-4」以降すべて買っています(笑)。
ーーサロモンは特定のモデルというよりもデザイン重視で選ぶんですか? 蒲谷 モデルよりもデザインやカラーリングの方が優先順位は高いかもしれません。ただ、「XT-4」は好きなので比較的多いかなという感じです。
ーー別注以外のサロモンを購入することもありますか? 蒲谷 もちろんです。サロモンには、カジュアル系の中で最もセグメントが高く限られたセレクトショップでしか取り扱いがない「アドヴァンスド」と「スニーカーズ」の2ラインがあります。どちらも基本的に定番以外のカラーはシーズンごとのエクスクルーシブなんです。
だから欲しいものはシーズン中に購入しないと後から手に入れるのが難しいんですよ。
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