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現状を変えるためにも世界の頂点を掴みたい

さて、来年2月には世界王者を決めるワールドカップが中東ドバイで行われる。監督も兼務して臨んだ前回大会で日本代表は準優勝。

ドバイでは当然その上を狙うが、それだけの結果を残しながら日本におけるビーチサッカー人気は今ひとつだ。選手のスキルは確実に上がっている一方、ビーチサッカーそのものの認知度は十分に高まっていない。

「日本はビーチサッカーをする環境に乏しいのが実情です。ほとんどの海にゴールはありませんしね。リオのビーチのようにゴールやトレーニング器具が常設されれば、多くの人にとって海が大切な場になるように思います。

それに近年はボールを蹴ることを禁止する公園も増えていますし、本来子供は鬼ごっことか駆けっこが好きなもの。街中でできないならビーチがその代わりの場所になるような、そんな環境づくりができるといいですよね」。

海離れが叫ばれて久しい昨今の日本で、ブラジルの海で生まれたビーチサッカーも、街中に人工的なグラウンドを作り、アーバンスポーツのような装いで試合が企画されることがある。興行的なアプローチは認知度の向上に役立つ。

だがルーツを大切にカルチャーを熟成させるといった点での貢献度には疑問符が付く。

かつて茂怜羅さんがプレーしたスペインやイタリアでは多くの試合がビーチで行われているというが、その背景にはビーチサッカー人気の高まりがある。はたして、来冬のワールドカップで偉業を成し得た暁には何か変化はあるのだろうか? 

正直なところ社会的な地位向上が図られるかはわからないという。ただ、アクロバティックなプレーが頻出する醍醐味や、ブラジルの試合であれば常にサンバのリズムが流れる場内の雰囲気を通して、ビーチサッカーの魅力を広く伝えたい。

そうした強い思いを心に秘め、茂怜羅さんは世界の頂点を掴みにいく。

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1980円。イカロス出版

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Getty Images=写真 小山内 隆=編集・文

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