OCEANS

SHARE

順調に思えたマッサージ会社は、社長が横領して手放すことに……



「2つ目がマッサージ事業です。保証協会や公庫など、銀行も積極的に融資してくれて数千万円借りることができました。大分と宮崎で店舗展開をしたのですが、コンサルタント会社社長がマーケティングなどをしっかりとしてくれたおかげで、こちらは順調に売り上げを伸ばしていました」。

ところがこの社長が、自身のアシスタントの給料を着服していたことが発覚。

さらに、サラリーマンの野口さんがなかなか現地に足を運べないのをいいことに、会社の売り上げを横領。ポルシェを乗り回したり、愛人を作ったりと、やりたい放題だったことも判明した。

「結局コンサルタント会社の社長には、退任してもらいました。ただ、社長のアシスタントだった方はとても仕事を頑張ってくれていたので、会社は畳まず、彼を社長にして継続することにしました」。

とはいえ当時、マッサージ会社は多額の借金を抱えていたため、野口さんは運営から退き、現在は株主として事業をサポート。

「結局、彼の頑張りもあって会社の借金は返せましたが、僕はまったく儲かっていません。人を使うことを前提としたビジネスは、副業としては面倒だとも実感しました。

今も不動産投資会社に数名の従業員はいますが、やっぱり幹部の管理やコミュニケーションは難しいですね。組織やシステムが安定するまでは、スモールスタートが良いと思います」。

そのほかにも貸したお金を返済しない知人と裁判沙汰になった挙句、会社に誹謗中傷の内容証明を送られるなど、彼の失敗談は尽きない。

失敗しても挑戦し続ける理由とは?



傍から見ると、カモにされているようにも思えるが、野口さんは全く意に介さない。今後も、儲かると思えば投資をしていくと強気の姿勢だ。

「例えば、僕がフィリピンに持っている投資物件。これも最初はすごく怪しいと思ったんですけど、試しに購入したら想像以上にうまくいったんです。

現在に至るまで本当にたくさんの失敗をしましたし、今も裁判沙汰の案件を抱えています(笑)。

でも、ここまでこれたのは、チャレンジすることを諦めなかったから。いろいろやってみたから自分に合う副業が見つかって、サラリーマン以上の稼ぎを得られるようになれたんだと思います」。

普通なら、一度失敗をして諦めてしまう人や稼いだお金に満足する人が大半だろう。野口さんは、202億円もの資産を持ちながら、現状に満足することなくチャレンジし続けている。

「今回は失敗談をお話しましたが、もちろんラッキーなこともたくさんありました。でも、ラッキーにするかどうかは自分次第だと思います。チャンスを掴まなければ何にもなりませんし、勉強することも大切です」。



最後に、「どこまでの失敗なら許容範囲なのか」を聞いてみた。

「資産の5%くらいは失敗してもいいのではないかと計算しています。もちろん失敗したら凹みますけどね(笑)。自分の貯金額や投資額に対して、何%までなら損失してもいいと決めておくと、投資への決断もしやすいし、失敗してもメンタルがやられることは少ないと思います」。

202億円の5%とすると、約10億円。現在までに5億円失敗していることを考えると、残り5億円はチャレンジできることになる。まだまだ失敗とチャレンジを繰り返す、野口さんの副業ストーリーは続きそうだ。


どんな投資でも、損をするリスクは必ずあるもの。だからこそ、どこまで失敗してもいいか、線引きを引いておくことが大切なのだ。

林田順子=取材・文 新澤 遥=写真

SHARE

次の記事を読み込んでいます。