OCEANS

SHARE

Q9.一方でキャンプやサウナなども流行しています。Z世代が日常に「非効率」なことを求めるのはなぜでしょうか。

便利さが加速する世の中だからこそ、時間や手間のかかる不便なことに価値を見出そうとする「不便益」という考え方に注目が集まっているんだと思います。Z世代で言うと、「写ルンです」が最たる例。スマホで写真が簡単に撮れるのに、フィルム写真にノスタルジーさや不便さを求めているんです。

「写ルンです」を持ち歩いているという今瀧さん。「飲み会などなんでもない日常を撮ることが多いですね」

「写ルンです」を持ち歩いているという今瀧さん。「飲み会などなんでもない日常を撮ることが多いですね」


Q10.Z世代とSNSは切っても切り離せない関係。忙しない日常の中で、SNSをするのはなぜでしょうか?

なぜやるのかというより、すべての行動にSNSが紐づいているからです。これまでは料理やテレビといった娯楽の選択肢の一つに、SNSがありました。しかしZ世代は、料理をするにもテレビを観るにも、そのファーストアクションにSNSがあるんです。つまり、SNSが生活とシームレスに繋がっている。SNSは娯楽の選択肢の一つではなく、自分の生活の一部であり、もっと言えば自分自身そのものでもあるのでしょうね。

Q11.SNSネイティブでもあるZ世代における、時間の価値の傾向はありますか?

「TikTok」は1分どころか、数十秒のコンテンツがたくさん発信されているので、時間を細かく見るようになっています。そうなると、長期的な視点が失われてしまうんです。僕自身もそうですが、Z世代は今日明日の短期的な時間の設計が得意な反面、10、20年後の時間を設計する力が弱い気がします。ITの進化やコロナ禍などを経て、目まぐるしく移り変わる時代を生きているから、ずっと先の未来に続く時間を想像しにくい傾向にあると思います。
 
Q12.5年後、時間の価値観はどのように変化していると思いますか?

続々と投じられる情報に時間を奪われていることに気づいてか、最近、僕の周りでもスマホからガラケーに変える人が増えてきました。そういったことも踏まえて、5年後は時間と上手に距離を置く人が増える気がします。時間を意識せざるを得ない時代だから、タイパを意識しながらも、時間を忘れる時間をつくる。そんな未来が待っているかもしれません。



船橋麻貴=文 武石早代=写真
記事提供:FUTURE IS NOW

SHARE

次の記事を読み込んでいます。