BMWは発表した新型EV「ビジョン・ノイエ・クラッセ(Vision Neue Klasse)」。日本での発売時期や販売価格などは未定。
今や日本だけでなく世界の高級自動車メーカーが、より革新的なEVの開発を目指して群雄割拠する時代。
かつては航続距離や充電スポットの数がEVの最大の難点だったが、そんな問題はもうひと昔前の話。近年では、高性能バッテリーの開発や充電環境のインフラ整備によって、EVはガソリン自動車の人気と肩を並べるほどの存在にまで進化している。
そんななか、BMWが「会社史上最大の投資」と銘打った、次世代の新型EVを発表した。EVのさらなる可能性を広げる最先端テクノロジーを搭載した、まったく新しいEVモデル。その驚くべきスペックとは?
【写真27点】「BMWの次世代EV」の詳細写真をチェック これまでにない新型EV。BMWが一歩先の未来を行く
国際モーターショー「IAA Mobility 2023」で、初めてお披露目されたビジョン・ノイエ・クラッセ。
今年9月に、ドイツのミュンヘンで開催された世界最大級の国際モーターショー「IAA Mobility 2023」。
フォルクスワーゲンやメルセデス・ベンツなど、世界の名だたる自動車メーカーが「Experience Connected Mobility」をテーマに、各社が誇る自動車の新型モデルや最新テクノロジーを披露した。
その中でも、特に大きな注目を集めたのが、BMWの新型EV「ビジョン・ノイエ・クラッセ」だ。
ビジョン・ノイエ・クラッセから初めて搭載される「BMW Panoramic Vision」。ドライバーの視線の先に、理想的な高さでバッテリーなどの情報が表示される。
その最大の魅力は、何といってもBMW初となるフロントガラスが、幅いっぱいディスプレイになる最新テクノロジーにある。
「視線は路上に、手はハンドルに」をスローガンに開発されたこの新システムは、運転に関するさまざまなデータをフロントガラスの下端に表示。簡単なジェスチャー操作で、ハンドル横のセンター・ディスプレイに表示されているコンテンツを、フロントガラスに移動させることもできる。
またフロントガラスのディスプレイは、運転席と助手席のどちらからでも操作が可能。操作中でもドライバーの視線は常に前方にあるので、安心してドライブを続けられる。
音声による操作システムと合わせて使えば、運転中のわずらわしい設定なども解消され、より近未来感のあるドライビング体験を味わえることだろう。
21インチのエアロダイナミック・ホイールは、モータースポーツからインスピレーションを得て、クラシックなクロススポーク・デザインをモチーフに作られたもの。
ビジョン・ノイエ・クラッセの魅力は、それだけでない。必要なもの以外を削ぎ落とした、無駄のないシンプルなデザインも魅力のひとつ。
力強い意匠のホイールアーチや、後方に広がる車室、前方に大きく傾斜した「シャークノーズ」のフロントエンドは、いずれもBMWの特徴的なデザイン。そこに、周りの景色をぐるりと見渡せる開放感のある窓や、一枚板のように見えるシャープなボディなど、次世代のEVにふさわしい新たな美的感覚が加えられている。
輝くエクステリアのカラーリングは、イエローの色彩をわずかに加えることで、ビジョン・ノイエ・クラッセらしい個性を強調。ブラックのサイドスカートやバンパーとの、コントラストがなんとも美しい。
ロングドライブでも疲れにくい広々としたインテリア。センターコンソールでスマートフォンの充電ができる。
ほかにも、暖色カラーのシートが印象的なインテリアは、機能性だけでなく環境問題にも配慮。装飾的なクロームメッキやレザーを一切使用しないことで、生産時のCO2排出量を減らしたサステナブルなデザインになっている。
センターコンソールのスペースには、スマートフォンの充電クレードルとガラス仕上げのセレクターレバーを設置。フロント・シートが、ひとつのブラケットで床面に固定されているため、リア・コンパートメントの足元には、広々としたスペースが確保されている。
フロントガラスとセンター・ディスプレイのグラフィックは、車内の照明を調節するアンビエント・ライティングと調和して動作するので、夜のドライブをより一層盛り上げてくれることだろう。
センサーが感知することで、自動で開閉してくれるシステムを搭載した4つのドア。
しかも、ビジョン・ノイエ・クラッセは、高効率な電気モーターに加えて、新開発の円形バッテリー・セルを搭載。これまで使用されていた角型セルよりも、エネルギー密度を20%以上も高めた。
これにより、充電速度が最大30%アップし、航続距離も最大30%延長。結果として、車両全体の効率を最大25%向上させることに成功したという。
まだ日本での発売時期などは未定だが、BMWの新たなフラグシップモデルになることだろう。今から続報が待ちきれない。