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2023.10.03

ファッション

NYでの経験がルーツ。「シュガーヒル」デザイナーが服づくりに求めるリアリティとは?

林陸也 写真=帆足宗洋(AVGVST)

林陸也 写真=帆足宗洋(AVGVST)


当記事は「Forbes JAPAN」の提供記事です。元記事はこちら

デニムやチェックシャツなどが人気のユニセックスブランド「SUGARHILL(シュガーヒル)」。

学生時代に立ち上げ、着実に成長させているデザイナーの林陸也が、次世代を担う「30才未満の30人」を選出する「30 UNDER 30 JAPAN 2023」のART&STYLE&SOCIAL部門の受賞者に選出された。林がつくる世界観とは、そして服作りに求めるものとは──。


ミリタリーやワークウェアの武骨な要素を、現代的な素材や色み、シルエットに置き換えて上質に仕立てたアイテムが特徴のブランド「シュガーヒル」。デザイナーの林陸也が大切にしていることのひとつが「リアリティのある服」だ。

林は、ワークウェアに柔らかい素材を取り入れ、リボンなどの装飾を施すといったような、機能性と装飾性を掛け合わせる。時代を遡ると、男性の服は機能性を重視し、女性は装飾性を重視するなど、性別によって服の性質が異なる。

たとえば、作業服は丈夫な素材でポケットが多く機能的だが、ドレスは繊細なレースやリボンなどの装飾を大切にするといった違いだ。林は、こうした性別によって異なる古典的なデザインを組み合わせ、現代の解釈で再定義している。

「服づくりは、リアリティから発想していきたい」。服づくりの過程で出会う、産地やつくり手との関係を服に織り込むのが、林のこだわり。実際に産地の工場や生地屋に足を運び、目で見て触ったものからインスピレーションを得る。糸や生地などテキスタイル選びは、商社を介さず工場と直接やりとりをする。

ワンシーズンごとにひとつずつ織物工場や縫製工場を開拓する。山形ではニット、岐阜はウール、岡山はデニムなどさまざまな産地の工場とつながりを築いている。こうしたプロセスは林にとっての「理想の世界観を作る重要なピース」なのだ。

2024年春夏のコレクションで発表したチェックシャツのトレンチコートと穴の空いたデニムジャケット(右)

2024年春夏のコレクションで発表したチェックシャツのトレンチコートと穴の空いたデニムジャケット(右)


林は、実際に着るイメージが湧くという意味でも「リアリティのある服」を心がけている。最初から色褪せたような風合いにしたり、ダメージ加工をしたりと、馴染みやすく味わいのあるデザインを施す。

見せ方も工夫する。ランウェイのモデルのほとんどがアジア人であったり、SNSで見せる写真を日本の家屋や街中などを背景に撮影したりする。「無理にさまざまな人種の人を起用するのではなく、我々の街に住んでいる人がシュガーヒルを着ているという自然でリアルな表現をしたい」。


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