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昭和天皇や多くの政治家を守ったベンツ製最新防弾車

メルセデス・ベンツ「S680ガード 4マチック」。こちらも専用ボディが開発され、見た目は普通のSクラスに仕上げられた。

メルセデス・ベンツ「S680ガード 4マチック」。こちらも専用ボディが開発され、見た目は普通のSクラスに仕上げられた。


1928年以来、90年以上にわたって防弾車を作り続けているメルセデス・ベンツ。多くの政治家や国家元首が同社の防弾車で身を守り、日本の昭和天皇もまた、自ら使用する車に選んだという。

最新作の「S680ガード 4マチック」は、もちろんテロリスト等からの狙撃や爆風をものともしない。さらに煙や刺激性ガスの侵入を防いで新鮮な空気を提供する緊急フレッシュエアシステムなどで乗員を守ることもできる。

インパネ周りは至って普通のSクラス。インテリアパーツの素材や色選びは自由に行える。

インパネ周りは至って普通のSクラス。インテリアパーツの素材や色選びは自由に行える。


防弾車メーカーの老舗であるメルセデス・ベンツらしく、同社はこのS680ガード 4マチックを開発するにあたり、わざわざ大学と共同で生体ダミーを開発した。

骨密度や骨構造、内蔵など細部に至るまで人間をリアルに模したこのダミーをS680ガード 4マチックに乗せると、ライフルで撃ちまくり、爆弾を投じた。そして、同車が乗員を確実に守れるというお墨付きである、「VPAM ERV認証」を取得したのだ。

一見普通のSクラスだが、いざセンターコンソールのフタを開けると、何やら見慣れぬスイッチがある。

一見普通のSクラスだが、いざセンターコンソールのフタを開けると、何やら見慣れぬスイッチがある。


見た目が通常のSクラスと同じなのは、i7プロテクション同様“目立たないように”という配慮から。

またインテリアも、通常のSクラス同様に多様なラグジュアリー素材や機能が用意されているが、乗員保護の観点から唯一サンルーフをNGとしているのは、いかにも几帳面な同社らしい。

万が一、ガラスが割れてもケガをしないように、ガラスの内側はポリカーボネートでコーティングされている。

万が一、ガラスが割れてもケガをしないように、ガラスの内側はポリカーボネートでコーティングされている。


さらに、攻撃により通電しなくなった場合に備えて、パワーウインドウは通常のSクラスと違い電動ではなく油圧で開閉する。

パワートレインは、同じSクラスベースのメルセデス・マイバッハS680と同様、V12ツインターボ×4WD。ただし、車両重量が約2tも増えたため、4WDのパーツが強化されている。

後席に座っているのが大学と共同で開発したという生体ダミー。

後席に座っているのが大学と共同で開発したという生体ダミー。


これだけの機能&装備を誇るS680ガード 4マチックは、ドイツ連邦刑事警察庁の要件も満たしている“市販車”。

ゴルゴ13にでも狙われない限り安心して移動できそうなメーカー純正防弾車が45万7100ユーロ(約7260万円)なら、安いもの!?

籠島康弘=文

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