歴史に詳しい時計ファンにとって、1918年創業のスイス機械式時計「ミドー」は、堅牢な実用時計作りに長けた存在である。
創業100年以上の長い歴史を経た今、そうした質実剛健な姿勢に加えて、ファッションにも取り入れやすいキャッチーなデザイン性を備え、いわば“硬軟合わせ持つ”、我々にとってはうれしいウォッチメーカーとなっている。
2023年の新作は、まさにこうしたミドーの「今」が詰まったコレクションといえる。早速、注目の4作から、ミドーの魅力を解き明かしていこう。
ブランドの顔となる「本格ダイバーズ」
いろんな意味で、ミドーを象徴するのが、ダイバーズウォッチだ。
今に受け継がれるダイバーズの愛称「オーシャンスター」は、1959年に独自技術によって誕生させた高防水時計がその名の由来。
現代の時計作りの粋と当時の先進性を融合させ、ブランドの人気を牽引する存在となっている。
「オーシャンスター トリビュート」の最新作は、こうした歴史を漂わせるヴィンテージダイバーズ風ルックスが最大の特徴。60年代のダイバーズの美的コードを現代的に解釈しており、ヴィンテージ時計ファンならば、グッと惹き込まれる要素がてんこ盛りだ。
現代のダイバーズとして不可欠な20気圧防水や逆回転防止ベゼルを装備。搭載するキャリバー80は、最大80時間のロングパワーリザーブを誇る。「オーシャンスター トリビュート」自動巻き、SSケース、40.5㎜径。16万5000円/ミドー(スウォッチ グループ ジャパン 03-6254-7190)
サファイヤガラスによるドーム型風防や、適度に盛り上がった夜光塗料のインデックス、シンプルなリューズガードや表情豊かなグラデーションダイヤルなど、枚挙にいとまがない。ちなみに工具不要で交換可能なラバーストラップが付属している点もうれしいポイント。
腕に乗せると40.5mm径のサイズ感が程良く、ミラネーゼブレスの輝きにも惚れ込める。我々が大好きな海辺のスタイリングにもバッチリハマること請け合いなのだ。
ヴィンテージもいいが、普段使いすることを考えれば、ガシガシと着けこなせる現代のヴィンテージ顔ダイバーズは非常に勝手がいい存在。アクティブな日常をさらに彩ってくれるはず。
これができるのは、現代のウォッチメイキングの勘所を理解しつつ、過去のオマージュができるミドーの技といえる。
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