今回取材をした場所に車を停めて断熱塗料を塗るメイさん。
大学4年生の時にクラウドファンディングを始め、翌年にマイバンが完成。同年2月に起業した。会社名はMeiMei。キャンピングカーのデザイン提案や女性をターゲットに活動しているSNS支援などの事業を行っている。
マイバン購入後は理想のキャンピングカーにするためにDIY三昧の日々を送っている。
仕事部屋にも寝室にもなる空間はWi-Fiこそ繋がっていないものの、スマホのテザリングでネット環境は問題なし。
椅子の下には鏡を置き、透明なテーブルも購入。車内をより広く見せる工夫を施した。
思い立ったらすぐに出発できる態勢。
「電気はもともと車に付属しているバッテリーとは別に、サブバッテリーを導入しているんです。これはソーラーパネルから電気を溜めていて、その電気を使って携帯やパソコンの充電、部屋の照明、水道のポンプ、IHコンロでの調理などに使っています」。
椅子の下に隠れているのがサブバッテリー。
水はキッチンに2つの給水排水タンクを置き、旅中に天然の湧き水を汲んだり、ドラッグストアの専用タンクを使って給水したり、スーパーで水を買ったりしているという。
DIYで取り付けたキッチンで自炊可能。
「バンライフの人たちは、みんな自分の愛車に名前を付けるんです。私の場合は、ハウルならぬ『メイの動く城』。家というよりはお城という感覚なんですよ。
この車で暮らしていると、私、お城のプリンセスじゃんと思うこともあって。実際に、幼稚園の七夕飾りには『お姫様になりたい』と書いていたとお母さんが言っていました」。
インテリアのテーマは日本と北欧の融合。
さらに、お気に入りは自身で命名した「シネマティックウィンドウ」。サイドには開放感あふれる横長の窓が付いており、車を停めればどんな景色も映画のワンシーンのようになるのだ。
寝転がって花火大会を鑑賞するのもよさそうだ。
なお、次にやりたいDIYはリアドアの部分にかわいい網戸を張ること。ドアを全開にすれば、虫の侵入を防ぎつつ景色を堪能できる。
しかし、素人にはなかなか難しそうだ。
ここで登場するのがメイさんを推薦してくれたシンエー住建の社長でDIYの師匠、桑原宏充さん。もともと父親の古い友人で、実家の外壁をリフォームしてくれた人物だ。メイさんは彼の好意で場所と道具を借りている。
「DIYに関しては、とにかくやってみようという精神。僕が付きっきりで見ているわけじゃないけど、ちょっと教えると飲み込みが早い。
使う塗料の色にもこだわるし、面白い子だなあと思っています。好奇心が旺盛で、ほっとけばどっかに飛んでいってしまうような性格ですね」。
作業が終われば一緒にラーメンを食べにいく仲。
バンライフはアメリカ発祥のカルチャーだが、最近は日本でも愛好者が増えている。横浜市内にある「Mobi Lab.」もキャンピングカーが好きな人たちのバンライフガレージだ。
ここでは、車両の販売やカスタム、修理の相談受付など、幅広いサービスを提供している。
「昨年秋に行われたオープンイベントには私も参加しました。今までは気軽に立ち寄れるバンライファーの居場所が少なかったので、Mobi Lab.の誕生は大ニュース。バンライフについて何か困ったことがあればすぐに駆け込めるのはとてもありがたいです」。
真ん中に写っているのが「メイの動く城」。
ちなみに、メイさんは食に対してほとんど興味がないという。全国の美味しいものに支払うはずのお金はガソリン代や観光代などに使用。このスタイルでバンライフを充実させている。
「でも、タコだけは小さい頃から大好き。刺身でもたこ焼きでも、何でも最高です」。
4歳の頃、子供用の包丁を買ってもらって料理に挑戦。
いずれにせよ、ヒッチハイクで全国を飛び回っていた女性も今では社長。キャンピングカーのデザイン力を磨くために昨年の秋からデザインスクールにも通い始めたほか、社会の固定概念から女性を解放する活動を精力的に行っている。
「今年5月にはバンライフに興味がある女性が集まるコミュニティ、『château club』を作りました。運営開始からまだ4カ月目ですが、バンライフ実現のために仕事を辞めた方、息子さんとバンライフができる仕事への転職を考えている方など、メンバーは着々と『いつかやってみたかったこと』に向かって動き出しています」。
今年6月に湘南の辻堂海浜公園で開催したイベントでは女性に必要な表現手法について学んだ。
最近は北海道の雄大な自然に入れ込んでいる。昨年は最北端の稚内を訪れた。
道中で牛が沢山いたので車を停めて撮った写真。
今年も取材の数日後には北海道に旅立つという。
「NHKの『世界遺産』で知床の風景を見てきれいだなと思って。夏はバンライファーたちが一斉に北上する季節なんですよ」。
後日送られてきたのが下の写真。流れ星が何度も流れ、涙が出そうなぐらい感動したそうだ。
知床峠で撮影した満点の星空。
推薦人の桑原さんは「好奇心が旺盛で、ほっとけばどっかに飛んでいってしまう」と言っていた。それは、「いつかやってみたかったこと」を実現させたメイさんの生き方そのものだ。
では、最後に読者へのメッセージをお願いします。
動き出さないと「いつかは、こない」。
[取材協力]宮本メイwww.instagram.com/may_miyamoto_/