言葉②辞めるかどうかを決めるのは人ではなく自分。その思いがあったから、やって来られた
Q:それまでのキャリアや常識が一切通用しない世界に飛び込んだわけですが、社会人経験があることはどのような影響がありましたか? 自分の場合、理論が先走ってしまうので「まずは動け」という注意をよく受けていました。例えば、ある先輩はこういう風に教えるけど、別の先輩は教え方が違ったりするわけです。
ただ、 当時理不尽だなと思ったことも、実際自分が店をやってみると、お客さんによって要求や好むものが違うので、実は結構活かせるんです。結局理不尽と思えたことが、自分の糧になっているんですよね。
Q:修行を15年経験されて、自信を持っての決断だったのですか? そうですね。自分の指名が入ってお客さんが喜んでもらえるのと、仕込みや味の再現はできるようになっていましたし、そろそろ自分でもできるんじゃないかと判断しました。あとは経験のある親方に客観的に見て、独立しても大丈夫かというお伺いを立てて、「もう大丈夫だ」という言葉を頂いたので、自分が抜けてもその店がちゃんと回るかどうかを親方に確認して、独立を決心したという流れですね。
Q:独立前後で、お寿司に対する向き合い方に変化はありましたか? そこは変わらないですね。お客さんに「美味しかったよ」「楽しかったよ」って言ってもらうのが、一番のやりがいというか、人を喜ばせて自分が喜んでいるのが寿司屋だと思うので、それが頑張ってきた甲斐があったなと感じる時ですけどね。
Q:THE WORDWAYは言葉を大切にしています。岩澤さんが大切にしている言葉があれば教えていただきたいのですが。 ある漫画の言葉なんですが、 「努力が報われるとは限らないけど、成功した人はすべからく努力をしている」という言葉ですね。もう1つは、スラムダンクの「諦めたらそこで試合終了ですよ」という言葉です。
諦めなければ絶対に独立できるので、そこは今自分の中でも後輩に伝えたい部分ですね。
Q:岩澤さんも一度はクビを宣告された時期もありました。ただ、そこで諦めなかったことが、今につながっているということですね。 そう思います。 辞めるのを決めるのは親方じゃなくて、自分だと思ってましたから。辞める判断は自分でする。ずっとそう思ってきたから、諦めずにやってこられたのかなと思いますね。
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