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自分の価値観を変えた民族との出会い




原田さんが訪れたのは10カ国。そのほとんどは、ラオス、ブラジル、アフリカ、モンゴルなどの原住民や少数民族を訪ねる旅だ。

「電気やガス、水道もなく、裸で暮らし、狩りをして暮らす。そういう原始的な生活をしている人たち。近づいたら殺されるような、文明を一切受け付けない民族もいます。笑うときは腹を抱えて笑い、怒るときは木の棒でぶん殴るくらい怒るという喜怒哀楽が激しい人たちもいました。また、神や精霊に接触するシャーマニズムに従って生きている人たちも地球の裏側にはいます。

同じ地球で同じ時代を生きている人間でも、こんなに違うのかっていう強烈な体験を僕はたくさんしてきていて、そういう人たちに会えば会うほど価値観が変わっていきましたね」。

芸能界は見栄と偏見の最たるもの




生を手放し、死を受け入れる瞬間を経験し、裸で生きる原始的な人間の暮らしに触れる。それを重ねるたびに、原田さん自身の生き方や考え方もどんどんシンプルになっていったという。

「芸能界は見栄と偏見の最たるものですが、着飾ったり、格好つける世界に一切興味がなくなりました。いわゆる普通の世界には、もう刺激がないんです。それよりも、目に見えない世界に強烈に興味があるから、心霊の世界を追求するようになったんです。いまは死後の世界に一番、ロマンを感じますね」。

泡を吹いてぶっ倒れるのが本望




心霊スポットで霊に会うことを原田さんが心待ちにしているのも、死後の世界に関して何か明確なメッセージやヒントを得たいからだ。だが同時に、YouTuberとしての世俗的な欲望も原田さんは吐露する。

「今回、いろいろな心霊体験をお話ししましたが、あの程度では霊に会ったうちに入らない。僕だって、この世で、あの世のことをもっと知ってみたいんですよ。でも霊感がないし、嘘もつきたくない。ただでさえ、俳優だから『胡散臭い』『演技をしてるんだろ』って言われがちなんですから。

理想は、霊に取り憑かれて泡を吹いてぶっ倒れること。そんな原田龍二を撮ってほしいですね。やっぱり、やるからには霊の脅威を体験したところを届けたいじゃないですか。心霊YouTube業界も競合がひしめいてますから(笑)」


心霊スポットをめぐる目的は、肝試しではない。死後のヒントを得るためだという独特な持論で更新し続けているYouTube番組も、投稿動画の数が300を超えた。

原田さんいわく「いいところまで来ている」気配はあるという。原田さんが霊に会えた暁には、ぜひまた話の続きを聞かせていただこう。

ぎぎまき=取材・文 新澤 遥=写真

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