株式会社バルム 代表取締役 北原耕太郎
▶︎すべての写真を見る 今夏、千葉・内房エリアにオープンした話題のホテル「ボタニカル プール クラブ」。手掛けたのは株式会社バルム 代表取締役の北原耕太郎さんだ。
四六時中仕事のことを考えており、ホテル経営に人生を捧げていると言っても過言ではない北原さんのFUN-TIMEとは?
プールと自然をテーマにしたマインドリッチな新ホテル
「星つきのホテルにはあまり興味がないんです」。
そう事もなげに語る。額面どおりに受け取ると嫌味を伴う発言だが、北原はホテル経営を生業とし、サービスには一家言を持つだけに理由がある。
「もちろんそういったホテルは食事も美味しいですし、内装もゴージャス。居心地もいいです。でも僕が求めるホテルの理想はそこではありません。
マインドリッチ(=気持ちが満たされている)と言いますか、記憶に刻まれる幸せの瞬間をいかにゲストに提供するかが重要なのです」。
ホテルへの思いの発露は学生時代に遡る。
「父が不動産業に就いていたせいか、子供の頃から将来は“街づくりをする”という思いが漠然とありました。大学時代に国内外を問わずいろんな国と地域を旅して、街の魅力を再認識しました。
就活の際、大手企業に入社するという思いもあったのですが、よく考えたらそこで自分が大きなプロジェクトを任されたときに、僕がその街づくりを手掛けたという達成感を得られるのか疑問に感じてしまって。
達成感が得られて、なおかつ自分が手掛けたと胸を張って言えるものって何か考えたときにホテル経営がひらめきました」。
不動産会社に就職したが5年後に独立し現職に。千葉・内房エリアに今夏オープン予定の話題のホテル「ボタニカル プール クラブ」は北原の手によるもの。自分たちの作品であると胸を張って言える、こだわりの詰まったホテルだ。
「『プールクラブ』をテーマに、ユニークな植物に囲まれたプールを年間通じて楽しめるホテルです。昼間は青空のもとで泳いだり、ただ水面に浮かんだり、夕方にはサンセットも眺められます。夜は満天の星空のもと、アルコールを堪能しながらゆっくりとくつろぐことができます。
先ほども少し話しましたが、僕がホテルを作る際に重要視しているのは、マインドリッチであること。
例えば、キャンプ場でビールを飲みながら火を眺めたり星を見たりする瞬間って、僕にとっては何ものにも代えがたいラグジュアリーなひととき。そういう自然体で感じる体験をゲストに提供したいと思っているんです」。
ホテルに求めるのは、ラグジュアリーな調度品でもなく贅を尽くした料理でもない。マインドリッチを尊重する思いは、自らの過去の体験によるものだという。
「ホテル作りに着手する際、これまでのさまざまな思い出や旅の経験を通じて、自分にとって最も記憶に残っていることや、どんな瞬間が幸せだったのか振り返りました。
そのときに思い出したのが、ビーチの木陰でなにもせず、ただ風や波の音を感じるだけだった時間が強く印象に残っていて。豪華なサービスよりもそういう瞬間が体験的価値としては高いと感じたのです」。
仕事のことを考えない時間はないという。それは貴重なFUN-TIMEも例外ではない。
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