80〜90年代初頭はユニークなデザインが豊富
素人目にはどれも同じようなものしか見えないが、年代ごとに何が違うのだろうか。
「まずタグのデザイン。これは“アメリカヴィンテージ好きあるある”ですが、チャンピオンのスウェットやリーバイスのデニムなどと同様、年代ごとにタグのデザインが違うんです」。
ブランドが誕生した80年代初期のタグは、黒地に白い文字でショーンフォントと呼ばれるブランドロゴを刺繍で表現。タグの下にはサイズ表記のみが付いているのが特徴で、素材表記は別の位置に付いている。
同時期に生産されたとされるこちらのタグは、ブランドロゴ&素材表記が重なっている。タグの上部だけが縫われているのが初期タグとの違い。
90年代に入ると通称「白タグ」と呼ばれるものを使用。80年代とは違い、白地に黒ロゴでデザインされ、ロゴのフォントも少し丸くコンパクトなものに変更。サイズや素材表記が赤文字になっているのも特徴の一つだ。
90年代後半からは、紺地に白文字の「紺タグ」と呼ばれるタグを採用し、最大の特徴は「SIZE」の表記が無くなったこと。白タグの名残なのか、サイズが赤丸で囲まれているのも特徴だ。同じ時期にブランドロゴの下に赤と青のカラーを施した「赤青タグ」も採用された。
2000年に入ると、「銀タグ」と呼ばれるものを使用。ブランドロゴが中央から端に移動し、サイズ表記には紺ラインを採用したスタイリッシュなデザインに。
「あとは同じ絵柄でも、年代ごとにプリントのデザインや表情などが微妙に違うのもポイントです。個人的にはパロディものやピクチャー柄、さらには有名アーティストのプリントが豊富だった80〜90年代初頭のものが気に入っています」。
人気のドラゴンモチーフの中でも特にお気に入り。ちなみに左のドラゴンTシャツは、中央にあしらった通称“シャネルロゴ”がポイント。
内田さんの一番のお気入りが、通称“スカルフラワー”と呼ばれるモチーフ。コレクターの間でも特に人気が高いもの。
パロディデザインもオールドステューシーならではの魅力。左は00年代前半に発売された某ブランドのモデルをモチーフにしたもの。右は某オーディオブランドのロゴがモチーフになっている。
レゲエやラスタをベースにしたモチーフも多く展開。ともに80年代製と思われる。左はレゲエの神様、ボブ・マーリーがプリントされたものだが、最近は某ネットフリマショップに15万円で出品されていたそう。右はボブ・マーリーと、エチオピア帝国の皇帝ハイレ・セラシエ1世のフォトプリント入り。
「デザイン的に今着てもぜんぜん違和感がないですし、何より他人と差別化が図れるのがいいですよね。ちなみに2000年代に入るとデザインの雰囲気やボディの質感が変わったこともあり、あまり食指が動かなくなりました」。
ニューヨーク限定で発売されたTシャツ。こちらは90年代後期のもので、当時は並行輸入のセレクトショップなどで購入できた。
この膨大なコレクション、今後どうするのか訊いてみた。
「最近はめっきり着ておらず、この取材のお話をいただいたときに久しぶりにクローゼットから引っぱり出して見たら、改めて格好良く感じたので今夏は着てみようと思いました。
でも、現在の市場相場をネットで調べてみたらそこそこ値段が上がっていたので驚きましたね。ただ、今のところは誰かに譲る気はありません。子供が大きくなったときに着てくれたらうれしいですけどね(笑)」。