③ ブラジルの安宿で夜中に人影が……数日怯えてわかった真相
Chin号で横断する以前、ブラジルのサンパウロにいた頃の出来事です。このときはバックパッカーとして旅をしていて、日本人街もある、街の安宿に泊まりました。
泊まったのはドミトリー部屋。部屋の中には二段ベッドがL字型に並んでいて、ベッドの反対側には本棚とか物がごちゃごちゃっと積んでありました。
サンパウロにある日本人街。
僕らのほかに一人青年がいたけど、彼はいつも帰ってこないので寝るのは僕らだけ。ドミトリーなので鍵はかかりません。
その晩、寝ているとなんとなく人の気配がしたんです。隣の部屋かなと思っても隣に部屋はない。まさか幽霊じゃないよね、と思いながら寝ました。朝、妻も何かを感じてたって言っていて。
そして翌日も何か感じる。やっぱり幽霊とかポルターガイストとかかもしれない、と不安でたまらなくなってきました。また次の夜中に、ドアの前に小さい影を目撃しました。子供じゃなくて小さなヒトらしき影なのです。
こちらはサウンパウロではなく、サルヴァドールでのドミトリー部屋。
4日目の夜、とうとう見ました。小さなヒトが音も立てずにスーッと移動するのを。怖くて暗がりの中、息を潜めていたら、そのヒト、本棚とか物がごちゃごちゃとした塊の前で消えていったんですよ。
やっぱり幽霊だったんだ!と思って、電気をつけてその前に立ったら、棚のカーテンが揺れていました。めくったら、毛布にくるまって人が寝てまして。
実はおじいさんが、本棚とかタンスで秘密の部屋を作って住んでいたのです(笑)。
一応家賃も払っているみたいで、起こしたら悪いと思って黙っていたそうなのです。早く言って欲しいですよね。毎晩、幽霊の気配を感じてたから、トイレにも行けなかったし。呪われなくて良かったです。
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幸い石澤さん夫婦は、強盗や暴力を受けるなどの事態には遭遇したことはないという。そうは言っても海外での旅は不測の事態の連続。念には念を入れるべし。