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「DB12」は、「世界初のスーパーツアラー」「ウルトララグジュアリー」と謳っているが、すでに香りで合格。シートの肉厚感も嬉しい。

ただし、ちょっとダッシュボードが高く、そこからセンターコンソールが後席まで伸びるが、全体的に高いのが気になる。包まれ感も高いが、シートを少し高めにしないと、圧迫感と感じる人もいるかも。インパネ上部にはタッチ式のマルチスクリーンシステステム、その下にトグル式とスイッチが並び、使い勝手は上々。

メイボーン・リヴィエラからドライバー交代場所であるカンヌに近いムージャン村のル・マス・ド・ピエールまで約38kmはほぼ高速道路を通るルートで私は助手席ドライブ。うーん。DB11より確かにすべてが洗練されている。

視覚的にも、感覚的にも。また、さすが「Bowers&Wilkins」の音質は良く、クリアで美しい音を奏でる。さらに乗り心地と静粛性はかなり高い。

そしていよいよ、私のドライブ。ここからはランチ場所の「ラ・バスティード・デバン」まで約60km。岩肌むき出た山々が連なるプレアルプ・ダズール自然公園のワインディングをひたすら走る。

ボディサイズは全長4725mm、全幅2060mm、全高1295mm。フロント部分が長い2×2の2ドアクーペスタイルで、見かけは正統派スーパーカールック。

新しくなったアストンマーティンを象徴するウィング・エンブレムが描かれたエンジンスタートスイッチを押すとDB12に命が吹き込まれる。

少し走っただけでDB12は、すべての動きがスムーズでしなやか、上質感が伝わる。気になるのはメーターパネル。液晶で、文字盤は小ぶり、表示はシンプル。これは好みが分かれるかもしれないし、年齢が高い人や視力が悪い人には見づらいかもしれない。

しかし、ドライビングは最高に気持ちがいい。



ドライブモードは「GT」「スポーツ」「スポーツ+」と、路面が濡れているときのために「ウエット」と自分好みのドライブをカスタマイズして設定できる「インディビジュアル」がある。

まずはGTモードにしてみたが、スタンダードなモードなのにレスポンスはかなりいいため、通常時はGTモード、必要に応じてスポーツモードで十分。ちなみにスポーツ+モードにすると、かなり低くて太いエグゾースト音とアグレッシブな走りとなる。

試乗なのと、上り坂の多いワインディングコースなので、積極的に使ってみたが、実際のドライブシーンではあまり出番は無いかも。しかし、いざという時のためにあることが大事。DB12の走りの幅が広がる。

車との一体感や操作遅れを感じないのは、加えてエレクトロニック・パワーアシスト・ステアリング(EPAS)の効果もあるようだ。さらにレスポンスを高めたい場合には、ダンパーを調整したり、スポーツ+モードを有効に使うとさらにアドレナリンがあふれ出るようなドライビングを体験できる。

680PS/800Nmを発生するパワーとトルクは、アップダウンが激しくコーナーも多い今回のドライブルートでもまったく違和感を感じることも、不足を感じることもなく終始、ご機嫌ドライブである。

さすが、「世界初のスーパーツアラー」「ウルトララグジュアリー」を謡うDB12にはまさに最高のシチュエーションだと思う。

ただこの後、唯一の弱点がランチの後に待っていた。

ランチの後は、私はまたまた助手席ドライブとなるのだが、前回の海外取材に加えて、またしてもカーナビ問題。目的地を設定していて向かっているはずなのに、何かを間違えたらしく、常にルートの軌道修正をしようとする。これに翻弄されかけたが、これはある意味、アストンマーティンからの贈り物。

DB12の世界初のテストドライブは、リアルにスリリングで、さすがはボンドカー。ちなみに、今回のネガティブな部分は、納車までに修正されるらしい。

試乗というミッションは終了。南仏で感じたこと。もしかしたら次のボンドカーになるかもしれない最新のアストンマーティンDB12のお陰で(?)ジェームズ・ボンド先取り!

価格は2990万円。2023年秋ごろからデリバリー予定だ。




吉田由美=文
記事提供:Forbes

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