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2023.07.21

南仏で“次のボンドカー”に先乗り。アストンマーティンの最新モデル「DB12」の“仕掛け”とは


当記事は「Forbes JAPAN」の提供記事です。元記事はこちら

アストンマーティンというと、映画007の主人公のジェームズ・ボンドの愛車「ボンドカー」を思い浮かべる人も多いはず。

これまでの007シリーズのうち、実に14作品にアストンマーティンのクルマが登場し、まさにボンドカーといえばアストンマーティンだ。中でもDB5は8作に登場し、ボンドカー=DB5をイメージする人は多いだろう。

そのDBシリーズの最新モデル「DB12」が2023年5月24日に英ゲイドンで発表され、その6時間後には日本でも公開された。

南仏で行われた国際試乗会にカーライフエッセイストの吉田由美氏が参加した。その模様をリポートする。


映画の大型スクリーンに映し出されるアストンマーティンはすこぶるカッコいい。しかも品がある。派手なカーアクションシーンでの登場でなくても、そこにあるだけで存在感があるのだ。ジェームズ・ボンドに並んで、もはや映画の主役だ。確かに、007ではどんな車が登場し、どんなシーンを見せてくれるのかも映画の見どころのひとつなのだ。

そんなところから、「いつかはアストンマーティン」と思っている人は少なくないだろう。

アストンマーティンの中でも特別なモデル「DBシリーズ」。初代DB1は1948年に登場した。車名の「DB」は、かつてのオーナーであるディヴィッド・ブラウンの名前が由来である。

「DB11」の後継車となるが、先代の「DB11」は2016年に発売され最初は5.2LV12ツインターボエンジン、608PSだったが、翌年に4LV8ツインターボエンジン、503psのエンジンを搭載するモデルが登場した。

しかもこのエンジンは、技術提携を行っているダイムラー社のメルセデスAMG製というから驚きだ。

公式写真より

公式写真より


ニース空港へ到着し、そのあと向かったのは2021年にオープンした南仏コートダジュールにある5つ星の高級リゾートホテル「The Mayborn Riviera(メイボーン・リヴィエラ)」。モナコ中心部からはわずか5kmちょっとしか離れてないロクブリュク・カップ・マルタンという町の崖の上にある。

すべての客室、レストラン、カフェから見える景色は実に美しい。東にイタリア、南にキラキラと光る地中海、西にはモナコが眼下に拡がる、どこから見てもまさに絶景中の絶景。海岸線にはココ・シャネルの別荘「ラ・パウザ」もあり、ココが愛した場所だそうだが、それも納得。

建物はガラスに覆われた船のようなデザインで、角の部分が鋭角に飛び出し、ダイナミックで個性的。エントランスの横にはDB12のコミュニケーションカラーである新色のグリーン「イリディセント・エメラルド」のDB12がモナコを見下ろすように展示されている。まさに、007の世界だ。

ゲストルームも素敵だが、レストランはミシュラン三ツ星シェフが手掛け、館内はまるで美術館のように、この地ゆかりのアーティスト作品が展示されている。

エクステリアデザインで最も変わったのはフロントマスク。フロントグリルが大きくなり、迫力が増している。しっかりグリルに穴が開いていているのは、しっかりと空気を取り込み、空力バランスと冷却性能を両立させるためで、デザインだけでなくパフォーマンスにも効果が高いだろう。

走行安定性を高めるため、フロントトレッドは6mm、リアが22mm拡大されている。エンジンはこれまで同様メルセデスAMGの4リッターV8ツインターボエンジンだが、680PS/800Nmを発生する。8速ATが組み合わされ、0-100km/hは3.6秒。最高速度は325km/h。

公式写真より

公式写真より


一番のトピックは、新しいダンパー「インテリジェント・アダプティブダンパー」と電子制御の「エレクトリック・リア・ディファレンシャル(E-diff)」が加わり、さらにサスペンションとよりダイレクト感を味わえるステアリングシステムにより、よりラグジュリー、よりダイナミックな走りを実現させる。これらの技術は、F1からのフィードバックなのだろう。

タイヤはアストンマーティンDB12専用のミシュラン・パイロットスポーツ5Sでフロント275/35/ZR21、リアが325/30/ZR21。これは特別仕様なため、「AML」というタイヤコードが付いていて、21インチのホイール装着する。インテリアのレザーは、「ブリッジ・オブ・ワイル」製。また、自社開発の10.25インチのインフォテイメントにも自信をのぞかせる。サウンドシステムは「Bowers&Wilkins」を採用する。
 
私が試乗したのはニュートロン・ホワイト。試乗場所に並んでいたDB12の中では一見、地味かと思いきや、ドアを開けた途端、「わお!」深いパープルとややグレーがかったホワイトのツートーンカラーが目に飛び込んできた。なるほど。確かに素敵だし、女性が好みそうな色だと思った。

ちなみに、私がアストンマーティンの一番好きなところは、香り。ドアを開けてシートに滑り込むと、「アストンマーティン」の香りに包まれる。アストンに限らずだが、英国車と米国車は、本当に良い香りだ。それはブランドによって違うのだが、ハイブランドショップのような涼やかで少し甘い香りがする。



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