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「僕らが小さい頃は、川で遊んでいると川に近づくなと怒られたんですよ。川でも用水路でも、なんでもかんでも危ないと禁止されていました。でも水辺から得るものはとても多いんです。

これはアラスカ川下りや、全国のあらゆる川で長年遊び続けた経験から実感しています。加古川の河川敷も川も、日岡山公園も、ただただそのままにしておくのはもったいない。なんであれを使わないんだとずっと思っていました。

こんなに価値がある土地や自然を持っているのに、それを理解せずまちづくりに生かさないのはなぜだろうといろんなところで話していたんです」。

岡本さんは、土地の魅力を市民や市長に伝えるために、2021年には加古川の河川敷での野外フェスティバル「SAVE KAKOGAWA FES」を主催。加古川市や河のポテンシャルを多くの人に気づいてもらうために、イベントを行いました。

2022年に開催された「SAVE KAKOGAWA FES」。自治体後援のもと、数時間にわたるライブやDJのパフォーマンスが行われ、約100店に及ぶ飲食店や物販が出店。来場者は2日間で一万人を超えた。

2022年に開催された「SAVE KAKOGAWA FES」。自治体後援のもと、数時間にわたるライブやDJのパフォーマンスが行われ、約100店に及ぶ飲食店や物販が出店。来場者は2日間で一万人を超えた。


そんなある日、岡本さんの思いに共感した人から、〈ON THE HILL〉へと導かれるキーパーソンとの出会いへつながっていきます。

「僕の話を聞いた人が、その考えを話してみてはどうかと兵庫県の東播磨県民局長(当時、伊藤裕文さん)を紹介してくれました。その県民局長がとても理解のある方で、僕の考えをとても面白がってくれたんです」。

〈ON THE HILL〉の元となった建物は、OAAはりまハイツという研修に使われていた宿泊施設。当時の県民局長はこの建物を岡本さんに紹介してくれました。



リニューアル前のOAAはりまハイツ。上は外観、下の打ち合わせスペースはレストラン兼バーに生まれ変わった

リニューアル前のOAAはりまハイツ。上は外観、下の打ち合わせスペースはレストラン兼バーに生まれ変わった。


「県民局長にプレゼンの場もつくっていただき、この施設を新しい活動の場として借りることになりました。民間の企業や個人で公園をプロデュースするというのはなかなか難しい。しかし、まずこの施設からだったら自分の今までの経験や、若いときに考えていたまちづくりをしたいという願望を全部盛り込んだ場所をつくることができると確信しました」。

まずは公園に頻繁に通い、利用者や自然、建物の特質を観察し、そこから一年ほどの時間をかけてこの空間をつくりあげていきました。


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