▶︎すべての写真を見る 昨今、街中で見かけるラガーシャツだが、それって若者のアイテムでは?と尻込みするなかれ。
言わずと知れたトラッドウェアだが、その出自を掘ると、俄然興味が湧く代物なのだ。
ブームの火付け役はパタゴニアの創業者だった
今も伝説的な存在として知られる「平凡パンチ別冊 メンズカタログ」。表紙に扱われていることからもラガーシャツへの入れ込み具合がわかる。
ファッションアイテムとして日本に紹介したのは、1976年刊行の「平凡パンチ別冊 メンズカタログ」だ。
当時は、機能的で堅牢なアイテムをアクセントとする「ヘビーデューティーアイビー」が真っ盛り。アメリカ現地取材による生の情報で人気だったこの雑誌が「ラグジャ現考学」という特集で、西海岸のクライマー「ヨセミテ派」に支持されているブームとして掲載した。
ここには、イングランド型やニュージーランド型といったモデル別分析や、洗い方、着こなしまで、仔細に紹介されている。
スクラムやモールといった密集のなかで、敵味方と激しく掴み合うため丈夫さがポイント。太めのボーダーなどは、デザイン的にも魅力的だ。Photo by Getty Images
このブームの火付け役は、我々も大好きなパタゴニアの創業者、イヴォン・シュイナード氏。
パタゴニア公式サイトによれば、同氏が、破れにくい襟の作りや肉厚のジャージー素材がロッククライミングに最適と思い、スコットランドで一枚購入したそう。
帰国後に山で着た際、仲間から「どこで買えるのか」と聞かれ、人気を博したことから、パタゴニア黎明期の主要アイテムとして販売されることになった。
1980年代にはNASAの宇宙飛行士たちが揃って着用する写真も。やっぱりキャッチーなルックスと強靭な作りが人気だったのかも?Photo by Getty Images
こうした出自を知れば、なんだか我々に近しい、由緒あるアイテムに思えてくるだろう。
とにかく、尻込みは無用。当時の気分を感じながら大胆な色柄を選びつつ、チノやデニムに合わせてゆったり着るのが良さそうだ。
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