「ジャーニー 1884」。自動巻きモデルは、明るいブルーのベゼル&ダイヤルと黒ダイヤルを用意。クオーツモデルには、ブラックのベゼル&ダイヤルのほか、ネイビーのベゼル&ダイヤルモデルに、ケースにPVD加工を施したモデルもラインナップ。自動巻き、クオーツとも43mm径、SSケース。15万7300円/ビクトリノックス(ビクトリノックス ジャパン 03-3796-0951)
マルチツールやナイフで知られるスイス発のビクトリノックスだが、それ以外にも、ラゲッジやトラベルギア、フレグランス、そして腕時計などにより、日常を幅広くサポートしてくれるライフスタイルブランドである。
いずれも使い勝手の良さを追求した独自性の強いアイテムで定評があり、腕時計においても高い存在感を示しているのだ。
創業年をその名に冠した最新ウォッチ「ジャーニー 1884」は、そうしたブランドの粋が詰まったスポーティルックな一本。アイコンウォッチと呼ぶに相応しい3つの際立つ独自性を掘り下げていきたい。
マルチツールやアウトドア由来のデザイン
ビクトリノックスと聞いて、思い浮かぶのはやはりそのタフネスだ。
歴史を辿れば、1884年に刃物職人だった創業者、カール・エルズナーによる刃物製造のワークショップに始まり、1891年にソルジャーナイフをスイス軍に納めるまでに成長。
その後、「オリジナル・オフィサー・アンド・スポーツナイフ」というオフィサーナイフの開発を進め、その存在を世界に轟かせることに。
タフネスは、1909年に「ビクトリノックス」と名乗ることとなったブランドの、いわばDNAとなっており、旅や冒険にも欠かせない道具のひとつといえるだろう。
裏蓋にはマルチツールが描かれている。
時計生産地のメッカであるスイスの企業であるビクトリノックスは、腕時計においても、そのタフネス&グッドデザインの点で、高い評価を獲得している点は強調したいところ。
例えば、ステンレススチールを表すフランス語「inox」=イノックス(ブランド名にも同じ意味で採用されている)と銘打たれた屈強なツールウォッチは、驚くべき強靭性とグッドデザインで人気を博している。
ここに紹介する最新モデル「ジャーニー 1884」は、こうしたブランドのDNAをしっかりと受け継いだ、ビクトリノックスの正統な腕時計なのだ。
一方で、そのデザイン性においても見るべき点は多い。マルチファンクションを簡潔に使用するために生み出されたデザイン性は、機能美そのもの。
1977年には、オリジナル・マルチツールが、ニューヨーク近代美術館(MoMA)に展示されたことも。近年では、トラベルギアの「スペクトラ3.0」などにおいて、レッドドットアワードを受賞。デザイン性においても優れている。
特徴的なのは、ステンレスの塊を削り出したような、ボリュームあるケース。そこに施されたヘアライン加工はシャープさを強調。さらに、素材コードが刻印され、プロダクトとしての骨太感も見せる。
そして、ベゼルの6時位置には、ナイフでカットしたかのような、シャープな傾斜がつけられており、そこには創業年にしてモデル名にも使用される「1884」の数字が刻まれ、ブランドアイコンとしての存在感を強調。
肉抜き加工が施された時分針は、アルプスの山岳標識から着想を得ており、スイスブランドであることをさりげなく匂わせる遊び心も、ブランドらしさの表れだ。
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