ビデイルとは
1894年創業の英国の老舗ブランド、バブアー。彼らが作るアイテムの実力はヘビーワーカーたちも折り紙付きで、庶民の間で深く愛されてきた。
さらには、英国の故エリザベス女王やチャールズ皇太子(現国王)が愛用したことでいっそう注目を集め、ロイヤルワラントの称号を得たのである。
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ビデイルは、そんなブランドの代名詞とも言える。もともと乗馬用ジャケットとして生まれた背景から、ハードなフィールドワークを快適にこなすための優れた機能性を担保。完成されたデザインは、長い時を経ても色褪せることはない。
ビデイルの魅力
オン・オフを選ばないデザイン
もともと乗馬用ジャケットであるビデイルは、騎乗時における動きやすさとスマートな見た目を考慮しデザインされている。
やや短めな着丈や、背中側の裾にあしらわれたベント(サイドベンツ)はそのいい例。また、ハードなライディングに備えるため、ラグランスリープ&ゆったり目なサイズ感であることも見逃せない。
だからこそ、オフシーンのカジュアルなコーディネイトにハマる。しかし、実はクセのないAラインシルエットゆえ、フォーマル度の高いオンスタイルともウマが合うのだ。
高い防水性と防風性を備えたワックスコットン生地
雨が多い英国での乗馬では、防水性&防風性に優れたジャケットは必要不可欠。その点でもビデイルは抜かりがない。なぜなら、上質なコットンにオイルを塗り込んだワックスコットン生地を使用しているためだ。
バブアーの真骨頂と言えるワックスコットン生地は、通常のコットン生地に比べて圧倒的な防水性&防風性を誇り、2度の世界大戦で英国軍が活用していた背景からも能力の高さがうかがえる。
そんな秀逸なワックスコットン生地を使用したビデイルもまた、優れた防水性と防風性を備えているのは言うまでもない。
ワックスが抜けたことで味が出る
英国の庶民から兵士、さらには王室をもサポートしてきたビデイル。それはひとえにワックスコットンの優れた防水性と防風性のたまものと言える。
そうした機能面ばかりでなく、ワックスコットンにはもう一つ大きな楽しみがある。それは“エイジング”。つまりは経年変化だ。
長く着用し続けると、染み込んだオイルが徐々に抜けてくる。すると生地にオイルの濃淡が生まれ、レザージャケットなどとは異なる、ワックスコットンならではの独特なツヤが出てくるのだ。そうした変化のおかげでますます愛着が湧く。
ちなみに、ワックスの抜けが気になる場合は正規代理店でリプルーフしてもらうこともできる(純正ワックスを購入して、自分でケアを行うことも可能)。
SLビデイルも人気
ビデイルには王道のクラシックモデルの他に、2011年に登場した「SLビデイル」というモデルもある。
このSLビデイルはクラシックモデルと同じ着丈だが、チェストやウエストをスリムにアップデート。それに合わせてコーデュロイ襟をコンパクトにしたり、ポケットサイズを微調整したりと、全体をモダンでスタイリッシュに仕上げている。
また、ピーチスキンやシェイプメモリーといった生地を採用した春夏モデルも登場しており、ブラックやインディゴ、セージ、ベージュなどの豊富なカラーバリエーションで展開されたことも指示された理由だ。
ビデイルの注意点
防寒に難あり
圧倒的な防水性と防風性を誇るビデイルだが、ジャケット本体はダウンなどと比べ保温性に優れているとは言い難い。
襟を閉じるチンストラップや袖口のインナーリブによって少しでも防寒性を上げる工夫はされているが、極寒時にはワックスを含んだ生地そのものが冷たく感じてしまうのは否めない。
しかし、別売りのファーライナーやキルティングライナーを付けることで、冬でもストレスなく過ごすことができるのでご安心を!
ワックスに注意
雨滴をはじき、風を通さないワックスコットンを使用したビデイルだが、人で溢れる街中での着こなしは少しばかり注意が必要だ。
なぜなら、コットンに染み込んだオイルの匂いは人によっては不快に感じることもあり、満員電車などで密着した場合は他人の服やカバンにオイルが付着してしまうことがあるからだ。
そういうトラブルは古いモデル(古いワックス)の場合に現れやすいので、古くから愛用しているビデイルユーザーはぜひ改良された最新のワックスを使ってみていただきたい。
まとめ
英国老舗ブランド、バブアーのビデイルは、1980年に誕生して以来、英国紳士はもとより世界中のアウトドアを愛する人たちに求められてきた。
その理由はスタイリッシュさとヘビーデューティーさがいいバランスで表現され、優れた防水性&防風性までも兼ね備えているからに他ならない。
その機能面を支えるバブアーのワックスコットン生地は、昔も今も唯一無二な存在。現在ではワックスコットンではない生地のビデイルも豊富なので、伝統のアイテムでの一味違うコーディネイトを楽しんでいただきたい。