雨に濡れるとスニーカーの劣化は進む。
それに歯止めをかけるのが防水スプレーである。「そんなの当たり前だろ!」と侮るなかれ。スニーカーケアのプロによると、防水スプレーの使い方次第では、劣化を早める危険性があるらしい。
【写真20点】「出掛ける直前の防水スプレーはNG! 専門家に聞く、正しいスニーカーの雨の日対策」の詳細写真をチェック 【今回訪れたのは……】「スニーカーアトランダム」 高円寺の裏路地に居を構える、知る人ぞ知るスニーカーのリペア、カスタム、クリーニング専門ショップ。スニーカーにまつわるアクシデントに対し、技術と誠意で応えてくれる頼もしき存在。年間修理実績2000足以上を誇る名店である。
住所:東京都杉並区高円寺3-53-8電話:03-5913-7690営業:11:00〜19:00定休日:水曜定休https://sneaker-at-random.com/Instagram@sneaker_at_random 実は間違いだらけ!? 防水スプレーの常識
【話を聞いたのはこの人】
城所 匠さん●高円寺にあるスニーカーメンテナンス&リペアの駆け込み寺、スニーカーアトランダムの御意見番。元ラーメン店の店長という異色の経歴をもち、これまで手がけたスニーカーは数知れず。その豊富な経験と知識に各メーカーからの信頼も厚く、幾つものプロジェクトやイベントに参画。自身も多数のスニーカーを所有する。
――スニーカーの雨の日対策といえば、やっぱり防水スプレーですよね! 城所 はい! 防水スプレーは絶対に吹き掛けてほしいですね。
――こまめにやるのは面倒なので、一度にたくさん吹き掛けています。
城所 それはまずいですね……。
――えっ!? 城所 どのメーカーもそうですが、防水スプレーの効果は2週間ほどしか続きません。吹き掛けて30分後ぐらいがもっとも効果が高く、そこから徐々に落ちていきます。
――へぇー、そうだったんだ。 城所 一度にたくさん吹き掛けようが意味はないですし、掛け過ぎてしまう分、コスト面でも効率がいいとはいえません。
――たくさん吹き掛ければ長持ちすると思ってました。 城所 できれば2週間ごとに防水スプレーを使うようにした方がいいですね。スニーカーを履く前に必ず吹き掛ける習慣を作ってもいいと思います。
――だとしたら履く前にやるようにします! 城所 防水スプレーを掛けたら、浸透するまで時間をおいてくださいね。
――すぐに外へ出掛けちゃダメ? 城所 靴に浸透するまでは、100%の効果を発揮できないんです。メーカーにもよりますが、だいたい30分ほどは放置していただいた方がいいと思います。
――結構待つんですね。 城所 目視だと、表面が乾いて色が落ち着いたぐらいかな。中にはドライヤーで早く乾かそうとする人もいますが、それだとスプレーの成分が飛んでしまいますので、やめてくださいね。
――覚えておきます。 城所 スニーカーを、シューリペア専門店でガラスコーティングする手もあります。ガラスの成分でスニーカー全体をコーティングするので水や泥汚れも、擦れ汚れもつきません。それだと2年ぐらいは効果が持続しますね。
――それはめっちゃいいですね!
城所 ただ、難点もあります。人は1日、2リットルほど足に汗をかくと言われています。ガラス成分でコーティングすると水分の逃げ場がないので、靴内が常に蒸れてしまい劣化に繋がる恐れもあります。スニーカーの種類によってはお勧めできません。
――なるほど……。防水スプレーの使い方も素材によって変えるものですか? 城所 どの素材のスニーカーもそこまで気を使わなくていいとは思いますが、僕はレザースニーカーには防水スプレーを使わないようにしています。
――どうしてですか? 城所 防水スプレーにはフッ素の成分が入っているものが多いので、吹き掛けすぎると白いシミや変色の原因になるんですよ。ただ、ドライヤーで成分を飛ばせばシミは消えますので安心してください。
――合皮も本革もですか? 城所 そうですね。あと、キャンバス地はスプレーの成分で変色しやすいので、掛け過ぎは禁物です。
――防水スプレーはこまめに適量が最善ですね。
城所 2週間経ったらスニーカーを一度ブラッシング、または洗ってからスプレーを吹き掛ける、を繰り返すといいでしょう。靴の表面に汚れがついた状態でスプレーを掛けると汚れを閉じ込めることになり、落ちなくなってしまいます。
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