それが変わったのは、家をちゃんと借りて洗濯機とかを自前で持つようになった30代になってから。とはいえ、ラクが一番なのでヴィンテージなどに手を出さず、取り扱いがラクなもの、もしくは現行品のものをドライクリーニングなどに出さずガシガシ手前で洗って着ています。

アロハってね、レーヨンでできてるから肌感がひんやりしていて、夏に着ると確かに気持ちがいいんですよ。それにテロッテロだから、風が吹くと風通しがよくて涼しい。暑がりなおじさんには最強なんですわ。

しかも若い頃にはちょっと着れねーな、と思って敬遠したような派手な柄も、年月を経てたどりついたシワまみれの我らのテクスチャーに絶妙にフィットするんで、はっきり言って何でも着こなせる。まるで10代の頃似合わなかったジュエリーのゴールドが、年を重ねるうちに肌に馴染んでいくように！

そう、たまにはおじさんになってこそ着こなせるものってあるんですよ。これを活かさない手はない。

ただ着こなしには気をつけましょうね。全身柄物とかだと違った意味合いが生まれてきてしまうので、ダメね。シャツが派手なぶん、ほかは抑えめに。

サングラスもメタルフレームのゴツいの掛けたりすると、タクシーに手を上げても止まってくれませんよ。サイズはゆったりめでシャツ以外はシンプルに。

そうすれば、いい感じに遊び心ある素敵なおじさんとして、あなたにもフリーでイージーな夏がきっとこの先に待っていますよ。

野村訓市さん（50歳）●編集者、デザイナー、プランナー、空間ディレクター、俳優などあらゆる業界で活躍する肩書きなしの自由人。今年で50歳を迎えたオトコが憧れるオトコ。