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二刀流バンザイ!

1997年に登場した初代プリウスは、大谷翔平選手みたいな車だった。エンジン駆動とモーター駆動の二刀流、しかもモーターは発電までするから三刀流とも言えるわけで、世界中の自動車メーカーを「ホントにそんなことできちゃうの?」とびっくり仰天させた。

あれから四半世紀、プリウスのTHS(トヨタ・ハイブリッド・システム)を超える仕組みは登場していない。

そんなプリウスではありますが、外野からの無責任なヤジも浴びました。「カッコ悪い」とか「つまんない」とか、「乗り心地が薄っぺらい」とか。欧州の速度域だったらディーゼルのほうが効率がいいという主張もありましたし、早く電気自動車に移行しろという声もありました。

でもトヨタは雑音に惑わされず、プリウスを磨きに磨き抜いて、ついに5代目となる新型は、走って楽しい車に仕上がった。PHEVのほうもイイ。おまけに超グッドルッキングで、まさにオータニさんだ。

「未来はEVだけ」なんて声に耳を貸さず、二刀流を貫いて良かった。「エンジンもハイブリッドも禁止! EVだけ!」と主張していたEU諸国もここにいたって、「EV専念は無理ゲーじゃない?」と言い始めた国が続々と出てきたわけですし。

モータージャーナリスト
サトータケシ
フリーランスのライター/編集者。幕張メッセで行われた「AUTOMOBILE COUNCIL 2023」で“ちょっと古い車熱”が再発。80年代車に憧れ、「これから高騰するので最後のチャンスかも」と心が揺れているとか。



人気銘柄に躍り出た

過去の4世代、プリウスは煮詰まっていたように思います。第2、第3世代でほとんど“国民車”レベルの人気を博したけれど、先代の第4世代で少々つまずいた。

その理詰めの進化(空力デザインなど)にそっぽを向いた人もいて、同門のハイブリッドモデル(アクアなど)に人気No.1の座を奪われたりもしました。

そこで一念発起したのか、燃費を最優先してきた開発目標をちょいと修正してデザイン主義を採り入れた。結果、ご覧のように誰もが驚くスタイルに。

好みが分かれたのは先代と同様だけれど、好意的なほうが多めだったのが今作の成功の理由だろう。納車待ちで、すぐには“買えない”人気銘柄のひとつとなった。

乗ってみてもこれまでとは違う。プリウスといえば、運転するとボディとドライバーとシャシーが一体感なく動く印象が強かった。

しかし、新型にはそれがなく、至ってフツウ。プリウスユーザーはかえって面食らうかもしれないけれど、初めて乗る人には違和感なく“いい車”としてドライブできるはず。

日常では電気自動車っぽく使えるPHEVもオススメだけど、意外にKINTO(トヨタのサブスク)専用の廉価グレードも良かった。予算に合わせて選ぶといいでしょう。

モータージャーナリスト
西川 淳
フリーランスの自動車“趣味”ライター。得意分野は、スーパースポーツ、クラシック&ヴィンテージといった趣味車。愛車もフィアット500(古くて可愛いやつ)やロータス エランなど趣味三昧。


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