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2023.06.09

ライフ

「街中のスケボーって犯罪?」日本スケートボード協会の公式カメラマンの真の意図

街中のスケートボード禁止看板。最近はこのように露骨な主張が増えている。

街中のスケートボード禁止看板。最近はこのように露骨な主張が増えている。

当記事は「FINEPLAY」の提供記事です。元記事はこちらから

今までスケートボードと接点はありましたか?

最近都市部では当たり前のように見るスケートボード禁止の看板。

「なんでわざわざ街中で練習するの⁉︎ 全く理解できない!」
「見るからに危険。わざわざ人がいるところでやらないで!」

ごもっともな意見でしょう。禁止にしたい気持ちもわかります。
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一昨年の東京オリンピックに端を発したブーム、それに伴い飛躍的に増加したスケートパーク。競技としての環境が整ってきた今は、多くの人がこのように考えるのも仕方のないことだと思います。

でも、多くの愛好者が、なぜ街中(ストリート)でスケートボードをするのかを”真剣に”考えたことはありますか?

街中で滑る愛好者の方々と、真面目に”話し合って”解決しようとしたことはありますか?

おそらく冒頭のように思う方の大半は、今までスケートボードにほとんど触れたことがなく、イメージや見た目、またはそれに伴ったマスメディアの報道などを通して、自然とマイナスな印象をもっているのではないでしょうか。

確かにまだまだスケートボードはマイノリティな存在かもしれません。興味のない方からすれば理解し難いのもわかります。でも社会的に存在が認知された今だからこそ、多様化の進む現代だからこそ、必要なのは相互理解ではないでしょうか。
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愛好者から見た「ストリート観」

昨年講師として登壇させていただいた目黒区教育委員会と行った社会教育講座「スケートボードの魅力と今後どうなっていくのか?」写真提供:ポプラ社

昨年講師として登壇させていただいた目黒区教育委員会と行った社会教育講座「スケートボードの魅力と今後どうなっていくのか?」写真提供:ポプラ社


そういった時代背景もあってか、最近は「スケートボードと社会」といったテーマで、有識者の方を招いたトークショーや講演が増えてきました。かくいう筆者自身も、スケートボードのフォトグラファー、ジャーナリストとして登壇させてもらったことがありますし、逆に取材をさせてもらったこともあります。

そこではストリートへの否定よりも「そんな目線があったんだ!」という感想が大多数を占めていた印象で、愛好者から見れば当たり前なことでも、立場が変われば、ものすごく新鮮に映ることもあるという事実を知ったのです。それは大きな発見でした。

そこで、今回は自分の立場から見た「ストリート観」をお伝えすることで、新たなモノの見方を、少しでも知るきっかけになってくれたら幸いです。

では本題の「なぜ街中で滑るのか⁉︎」ですが、端的にいうと、自分は「作品」として写真に(人によっては映像に)収めているからです。
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というのも、私がスケートボードに出会った20年以上前は、スケートパークの数が今よりも圧倒的に少なかったので、できる場所を探して、もしくは作り出して滑るしかありませんでした。ですので、空き地や公園の一角にこういったお手製のセクション(障害物)を設置して練習するという光景はよく見かけたものです。

街がさらに魅力的な存在になる

以前は高架下や川沿いなど人目につきにくい場所で、このようなお手製のスケートボードセクション(障害物)を置いて練習する姿がよく見られた。

以前は高架下や川沿いなど人目につきにくい場所で、このようなお手製のスケートボードセクション(障害物)を置いて練習する姿がよく見られた。


そういった環境で育つと、街の見方が今までとは180度変わってきます。

「僕はこの技が得意だから、あの場所でやってみたいな」
「自分達のチームのTシャツを作ったから、それを着て撮影しよう」

そうやって自分らしいファッションに身を包み、自分らしい技を、自分らしい場所で、映像や写真に収めたくなるのは、ごくごく自然な成長といえます。

一般の方からすれば想像もつかないことかと思いますが、なかにはストリートこそ本番、スケートパークは練習、そのように捉える人もいるくらいです。

そうして撮り溜めた映像を繋いで編集し、音楽を載せてひとつの作品に仕上げる。さらに出来上がったものを皆でシェアして、喜びを分かち合う。スケートボードはそうしたストリート文化の中で発展してきました。

今はオリンピック種目の一つになりましたが、ルーツはここにあるのです。

ではそんな文化において、フォトグラファー的観点でストリートを見るとどう映るのでしょうか? これからいくつかのサンプルを紹介していきましょう。
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